健保組合、5年連続の大幅赤字 12年度は5782億円(共同通信 2012年4月16日)

『健康保険組合連合会(健保連)は16日、全国の1435健保組合全体で2012年度の経常赤字が5782億円に上り、5年連続で大幅赤字になるとの見通しを発表した。過去最高の約4割に当たる584組合が保険料率を引き上げた。うち288組合が2年連続で引き上げ』

という記事が出ていました。

■健保組合は主に大企業の従業員とその家族約3千万人が加入。回答があった1346組合のデータから全体を集計した。

■平均保険料率は前年度比0・37ポイント増の8・31%。保険料のベースとなる賃金が伸び悩む中、料率の引き上げで収入増を図るが、高齢者医療向けの拠出金負担が響く。
というものです。
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健康保険組合の被保険者から預かった保険料の40%以上が拠出金として高齢者医療費の補填にあてられており、その拠出金事態が組合の財政を大きく圧迫しているといわれます。

健保組合が高齢者医療のために拠出している費用は、長期にわたって上昇し続けており、現在、支出の50%近くにまで達しており、今後、その支出の過半が高齢者医療に拠出されることとなる見込みとみられています。

高齢者医療費を押し上げる原因として、寝たきりや認知症の発症、摂食障害などの機能低下要因だけでなく、入院受療率の増加などの受療構造の変化、多剤投与などの要因があげられれるようです。

療養病棟で医療処置を受けているもののうち、43%は「容態急変の可能性は低く在宅や福祉施設で対応できるもの」という方もおられます。
又、精神科病院に入院している認知症患者の半数は在宅でも生活は可能と言われています。

医療から介護へ、特に病院から高齢者施設、住宅へ誘導することで、健保の医療費(拠出金)負担は大きく改善されるのではないでしょうか。

医療と介護を一体的に考えないと、企業の健康保険組合の負担も軽減されません。病院から在宅へ、医療から介護へとシフトをすることでどれだけの社会保障費の削減につながるのでしょうか。企業も真剣にこのことを考える必要があるように思います。

企業が遊休地を活用して高齢者住宅をつくり、そこに健保組合の組合員の高齢者扶養者が病院から移ることができると、どれだけのコストダウンにつながるかを検討してみる必要があります。

企業が福利厚生の一環として、又、健保組合に対する拠出金の削減策の一環としても、高齢者住宅への取り組みは十分に効果があると考えるのですが、いかがでしょうか。