これまでベネッセ、ワタミと大手の決選説明会で述べられたこれからの戦略についてご紹介しましたが、今回はニチイ学館です。基本的は他社と同様の戦略を考えておられるようです。
介護報酬の制度リスクをできるだけ避けるように、施設系サービスのウエイトを下げ、介護保険外サービスを拡充させていくという戦略のようです。ここにニッチの市場が生まれてきています。
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ニチイ、介護保険外サービスも拡充へ-家事代行など
医療介護CBニュース 5月17日(木)

ニチイ学館は17日に決算説明会を開き、今後介護保険外サービスについても拡充していくことを明らかにした。介護サービスなどを手掛ける「ヘルスケア事業」は、売上高全体の半分を占めるが、齊藤正俊社長は、事業が介護保険制度に左右され、報酬改定によるリスクがあるとし、施設向けのヘルパー派遣や家事代行などの保険外サービスを強化しながら、リスクの軽減を図る方針を示した。

2012年3月期通期のヘルスケア事業は、売上高1384億9300万円(前期比11.4%増)、営業利益101億4200万円(同56.0%増)と順調に推移。サービス拠点の積極展開に合わせて、在宅・施設とも利用者が増加したほか、07年にコムスンから譲渡を受けた有料老人ホーム事業の収益改善なども寄与した。
このうち、介護保険制度外サービスをみると、売上高111億5300万円(ヘルスケア事業全体の8.1%)、営業利益15億5000万円(同15.3%)を占めている。
齊藤社長は、今後5年ほどで保険外サービスの売上高を、ヘルスケア事業全体の25%まで引き上げるほか、営業利益で50%を目指すとした。

同社では、保険制度外サービスとして、「障がい福祉サービス」と施設向けのヘルパー派遣サービスなどを展開してきたが、森信介専務は、今後介護保険の生活援助サービスが縮小に向かうことも考えられるため、家事代行サービスなどにも力を入れていくとした。また同社では、プライベートブランドの紙おむつも販売しており、消耗品も含む福祉用具の販売にも力を入れるという。

■24時間訪問サービスは「様子見」

質疑応答で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)の展開について齊藤社長は、「自治体の動きなどを聞いても、動きはまだそれほどない。もう少し様子を見ていきたい」と話した。その一方で、2年ほど前から行っている深夜や早朝の訪問サービスについては、訪問看護ステーションの整備と併せて、引き続き展開していくという。
同社の訪問看護拠点は、今年3月末時点で23か所だが、12年度中に66か所まで増やす計画だ。

同社全体の連結業績は、売上高2573億4000万円(前期比6.9%増)、営業利益116億7200万円(48.3%増)で、ヘルスケア事業と、医療事務の受託などを手掛ける医療関係事業がけん引した。来年3月期通期には売上高2740億円(同6.5%増)、営業利益114億円(2.3%減)を見込んでいる。