24時間介護に人材・採算の壁(中国新聞5月25日)

地方都市で今年度新設の24時間巡回型介護サービスが低調です。新しい制度が現実と乖離している実態が明らかになってきています。
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4月から介護保険で提供できるようになった24時間対応型の訪問介護・看護サービスが中国地方で低調だ。

サービスが始まったのは米子市だけで、本年度中の開始見込みも全107市町村の約1割の12市町にとどまる。夜間の人材確保の難しさや中山間地域の採算性の悪さが背景にある。助成金制度を設けるなどして事業者の参入を促す自治体も出ている。

中国地方で唯一、24時間の訪問サービスに取り組むのは米子市の複合福祉施設・なんぶ幸朋苑。4月11日からヘルパーや看護師が夜も含めて1日数回、市内のお年寄り3人の自宅を巡回訪問する。電話があれば昼夜を問わず駆け付ける。松本恭治総合施設長は「住み慣れた家でケアが受けられると喜んでもらっている」と手応えを語る。

気掛かりなのは3人にとどまる利用者数。「特別養護老人ホームやデイサービスと一体で運営しているので成り立つが、単独だったら採算が合うかどうか…」と明かす。

広島市や福山市、岩国市など12市町も本年度中に民間事業者がサービスを始めると見込む。ただ、都市部が多く、島根県内では予定がない。点在する民家を回るのに時間と経費がかさむ中山間地域や島では、参入の計画が浮上していない地域もある。

2013年度の開始に向け、事業者を募る予定の三次市は「応じてくれる事業者がいるかどうか…」と不安そう。14年度の開始を目標にする庄原市も「降雪時の夜間に訪問できるかどうかなど不透明な部分もある」と打ち明ける。

中山間地域の苦境を見越し、岡山県は4月から中山間地域に限定して1回の訪問ごとに250円を報酬に上乗せする独自の助成制度を創設した。

介護保険に詳しい県立広島大の住居広士教授(老年学)は「24時間の訪問サービスは自宅で介護するために必要だが、基盤の施設や人員が不足している。自治体が補助金を出してモデル事業などを展開していく必要がある」と指摘している。