前回に続いての提案です。経済協力開発機構社会政策シニアエコノミスト ウィレス・アデマ氏の報告です。

女性労働力活用のポイントは次の3つ。

①女性の雇用率が高まればGDPを押し上げる。
②給与と昇進制度は年功序列から脱却せよ。
③男女どちらにも魅力的な職場実現が必要。


日本は高齢化が進行しており、生産年齢人口は減り続けている。2011年時点の労働率は男性が84%、女性が63%で、このままいけば2030年の日本の労働力人口は、11年より約1000万人少ない約5000万人になる見通しだ。そして、高齢者1人当りの生産年齢人口は、現在の2.8人から、2050年には1.3%にまで落ち込むだろう。

日本では雇用の男女格差が他国と比べ大きい。男女の労働力率は21ポイント開いているが、OECD全体の平均は約17ポイントだ。男女の賃金格差は27%で、OECD加盟国中2番目に大きい。この賃金格差は、非正規労働者と正規労働者の雇用条件に大幅な差があることと密接に関係する。

比較的低賃金の非正規労働者の約70%が女性で、その多くはパートタイム就労なのに対し、正規労働者の約70%が男性で、手厚い雇用補償を受けている。新卒の大学女性が正社員になる場合でも、事務的な仕事を担当する「一般職」を選ぶケースが多く、幹部候補である「総合職」を選ぶケースは少ない。日本企業の取締役会に占める女性の比率が4%未満とOECD加盟国の中で下から2番目に少ない理由の一部はここにある。

そこで、対策は日本の労働市場の制度改革ですが、彼の提案は次の通りです。
・給与体系と昇進制度は年功序列ではなく、実力主義にすべきだ。
・母親の職場復帰やパートタイム就労者の正規雇用を容易にして、人材プールを拡大すべきである。
・重要なのは、長時間労働の風潮をなくして父親、母親の”どちらにも”魅力的な職場を実現すること、有給・無給労働の”どちらにも”男女のバランスが取れるよう配慮することである。
・父親の育児・家事への参加率が高い国ほど、女性の雇用率は高くなる。
・法制度や労使協約でも改革を促す効果はあるが、カギを握るのは職場でのリーダーシップである。
・上級管理職は率先して休暇をとるなど手本を示すべきだ。社員が男女とも与えられた育児休暇を利用できるよう、中間管理職に責任を持たせることも考えられる。
・若い大卒女性、母親の職場復帰者、パートタイム就労者を正規のキャリア形成システムに取り込むことを企業手に奨励し、実績に間る情報を開示してはどうか。

こうした方向で改革を実現するには、長期にわたる持続的な努力が必要になろう。日本はいまこそ、全ての国民のスキルとその豊富な人材資源をもっと効果的に活用すべきである。

長時間労働を強いる職場文化を改め、両親が共に仕事と家庭を両立しやすい文化が実現すれば、間近に迫った労働力不足の問題を解決する一助となろう。

彼の報告を読んで、いずれも企業として当然進めていかねばならないテーマだと考えます。しかし、その根底には一人一人の生産性をアップして、個々人の生産性に応じて支払われる報酬体系(実力主義)が前提でなければならないでしょう。両立を目指して、改革に取り組みたいと思います。