参院選挙では自民党は次の公約をしました。あくまでも選挙前は痛みを伴う改革については言及せず、選挙が終われば具体的に痛みを求める社会保障国民会議の中身が明らかになって参りました。(朝日新聞 7月26日)

<自民>
 社会保障国民会議の審議を踏まえて制度を見直す。地域で必要な医療を確保(※公約本体)
 保険の対象範囲の適正化。国保の都道府県単位化。高額療養費の限度額引き下げ(※政策集)

下記にありますように、特に介護度の低い要支援向けのサービスを事実上削除する内容になっています。この分野を切り捨てることで、更に、要介護者の増加となる恐れが出てきています。国民的議論を起こす必要があります。

要支援1 目安:日常生活で支援が必要 具体例:身の回りの行動に何らかの支えが必要なときがある
要支援2 目安:日常生活で「1」よりも多くの支援が必要 具体例:「1」に加え、病気や怪我により心身の状態が安定していない等

家族介護が崩壊しつつある状況下で、誰が要支援の高齢者を支えるのでしょうか? 地方自治体に対策を押し付けるのは間違っていると思います。 
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「要支援」介護保険から分離 社会保障国民会議の報告案(朝日新聞 7月26日)

【五郎丸健一、見市紀世子】政府の社会保障国民会議(会長=清家篤・慶応義塾長)がまとめる報告書の素案の概要がわかった。介護を必要とする度合いが低い人向けのサービスを介護保険から市町村事業に移す案のほか、医療・介護の自己負担引き上げなどの「痛み」を求める項目が並ぶ。安倍政権が今後進める社会保障改革の土台となる見通しだ。国民会議は8月6日の報告書提出をめざし、来週から大詰めの議論に入る。

その中身は、『社会保障、軒並み負担増』

■ 政府は報告書をもとに改革の手順を定める法案を、今秋の国会に出す構えだ。

■報告書の素案では、少子高齢化のなかで社会保障を維持するには徹底した重点化・効率化が必要だと指摘。制度を高齢者重視から「全世代型」に転換するよう訴え、高齢者を含めて所得に応じた負担を求める方向性も打ち出した。

■検討を求める具体策は、財政が特に厳しい介護・医療が中心。介護分野では、介護の必要度が低い「要支援」(約140万人)向けのサービスを介護保険から切り離し、市町村の独自事業に移すことや、高所得の利用者の自己負担を今の1割から引き上げることを提案している。ただ、要支援を移管する案には、利用者団体から「市町村側の受け皿が整わない地域ではサービスが低下する」との懸念が出ている。

■ 医療では、患者が紹介状を持たずに大病院を受診する場合、初診・再診料として定額の負担を求める▽保険料の上限引き上げ▽高額の医療費がかかった場合の患者負担の上限見直し(高所得者は引き上げ、低所得者は引き下げ)――などを検討項目に盛り込んだ。安倍政権が検討している70~74歳の医療費窓口負担の引き上げ(1割→2割)も、早期実施を求めている。

■また非正規雇用や無職の加入者が増え、財政が悪化する国民健康保険の再編を医療改革の柱に据えた。国保の赤字を国が穴埋めした上で、運営主体を市町村から都道府県に移し、財政基盤を安定させる。

■中小企業の会社員が入る「協会けんぽ」の財政改善のため、高齢者医療向け負担金の計算方法の変更も提案。加入者の収入に応じた「総報酬割」を全面拡大し、大企業の健康保険組合などの負担を増やす。

■年金では、財政維持のために少子高齢化の状況に応じて給付を抑える「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みを、物価下落時でも実施できるようにすることを盛り込む。受給開始年齢の引き上げは、働き方とセットで中長期で検討する課題とする。

※〈社会保障国民会議〉
昨年夏に自民、公明、民主の3党が消費増税に合意したのに伴い、同時に社会保障改革を進めるために政府が設置した。研究者ら15人が医療・介護、年金、少子化対策の将来像を議論してきた。8月上旬の報告書をもとに政府が改革内容を具体化し、必要な法改正などを進める。自民党は参院選の公約で、国民会議の議論を踏まえ、「社会保障制度について必要な見直しを行う」としていた。