独立行政法人国立長寿医療研究センター名誉総長大島伸一氏が書かれた、「超高齢社会の医療のかたち、国のかたち」 を読みました。これからの日本の医療と介護を考える上で、非常に示唆に富む本です。ポイントをご紹介しておきます。

まずは基本的な整理から。
・高齢化社会とは、高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口の7%を超えた社会をいい、「高齢社会」は14%、『超高齢社会」については確実な定義がなく、人によって20%とか21%とか言っているが、ここでは21%を超えた社会を超高齢社会とする。

・高齢化社会から高齢社会に至るまでの年数を、高齢化のスピードという。我が国は1070年に高齢化社会となり、そして24年という短期間の後の1994年には高齢社会に至り、さらに2007年に超高齢社会に突入している。ちなみにフランスは114年かかっている。

・高齢社会になって何が問題かというと、第1に人口構造の重心が高齢の側に移って、これまでのピラミッド型の人口構造が崩れてしまったことである。それは、現在の制度やシステムがこれから向かう社会に合ったものではなくなるため、あらゆるところで問題が露出してくるということである。今までのすべての社会システムや制度はピラミッド型の人口構造に合わせてつくられたものである。

・社会保障の問題もピラミッド型の人口構造のもとにつくられたものであり、この構造が壊れてしまうと、あらゆる制度やシステムが通用しなくなる。医療や介護、年金だけでなく、教育も産業もすべて影響を受ける。しかも、部分修正でなんとかなるという段階は越えていて、これまでのあり方を根本から見直さねばならないのである。

<次回に続く>