引き続き、独立行政法人国立長寿医療センター名誉総長の著書、「医療のかたち、国のかたち」について、ポイントを整理してみたいと思います。

<病院医療から在宅医療への転換>

■これまでの医療にはもう一つ大きな特徴がある。それは「病気に関わることはすべて病院で」というような医療を推進してきたということ。生まれてから死ぬまですべて病院というやり方である。

■しかし、病院は高度で高額の医療機器を集中的に整備し、人も非常に厚く配置して、先端の高度な医療を提供できるような環境を整えている。したがって、そのような環境でしか扱えない病気だけを扱うべきではないか。そういう考えがあっても不思議ではない。

■治療の場としての病院とは、言ってみれば緊急避難のときの隔離社会のようなもので、そのような社会から隔離されたところで何日間か生活するというのは、そこでしかできない病気の治療、高度専門医療を受けるために。やむを得ずそうするのである。

■高度専門医療ではなく、病院でなくても可能な医療なら、生活の場である家や地域のなかで行うのが当たり前ではないか。

■こう考えてくると、治療の場の問題というのは、単に社会資源の有効活用という合理的な話だけではなく、人にとってどんな終末期の在り方がよいのかという根本的な問題だということがわかる。

■生活を中心に考えれば、その核となるのは在宅医療である。在宅医療は、生活の場のなかにある医療そのもので、動くことは困難だが、病状が一定している高齢者にとっては望ましい医療提供の在り方だといえる。

■国民だけでなく医療関係者でさえも、在宅医療に関して十分な理解ができていない。病気なら何でも病院にいくという文化を、戦後40年、50年かけてつくってきてしまったのである。