<前回に続く>

■ 『若い世代と混住』  危機を防ぐには、新たな支え合いの仕組みが要る。

■高齢者支援を担うNPO法人「人と人をつなぐ会」はミニ保険会社のメモリード・ライフ(東京)と組み、一人暮らしの高齢者のリスクを補償する保険の取り扱いを始めた。

■高齢者世帯を見守り、遺品整理や葬儀手配も引き受ける。 NPO法人会長の本庄有由(76)は「住民の善意に頼る仕組みでは限界がある」と話す。

■品川区は若い世代と高齢者の「混住」をつくり出そうとしている。
齢化が著しい八潮地区につくった「住み替え相談センター」を拠点に、高齢者向け住宅を若年層に紹介する。空いた住戸に若い世代を呼び込み、地域に老若(ろうにゃく)の支え合いを創る狙いだ。ただ都内だけで高齢者のケアを完結させるのは限界もある。

■杉並区は静岡県南伊豆町に特別養護老人ホームをつくり、区民を優先的に入所させる構想を進める。
特養に入れない人が約2千人いるが、区内では用地が確保できず整備が進まないからだ。

■特養は寝たきりや認知症など重度の人が対象。それだけに本人の意に反して住み慣れた地を離れる「うば捨て」の懸念も強く、国は移住型に慎重だ。

■だが特養ができれば人口減が続く南伊豆町にも雇用が生まれ、家族が街を訪れる利点がある。  「東京は周辺自治体と協力しないと介護の将来を描けない」。 日本創成会議座長の増田寛也元総務相は話す。

■『高齢者、3割が単身』
 東京の高齢化は高齢者の人数が増えるだけでなく、質的な変化がある。みずほ情報総研の藤森克彦・主席研究員は「後期高齢者化、単身世帯化、未婚化を伴う」と分析する。

■2010年から35年かけて都内の75歳以上の後期高齢者は80万人(65%)増える。 増加率は高齢者全体の41%を大きく上回る。

■世帯の姿も変わる。 高齢者に占める単身者の割合は既に全国平均より高い24%だが、28%にまで拡大する。ずっと未婚で子供のいない独り暮らしが多くなる。

■家族のいないお年寄りをどう支えるか。 特別養護老人ホームなどは既に待機者であふれ、供給不足は今後一段と深刻になる。藤森氏は杉並区のような「地方との連携は一つに手」と位置づけた上で「地域の絆作りも重要」と指摘する。

■高齢化率が5割前後のマンモス団地、都営戸山ハイツ(新宿区)の一角には無料のよろず相談所「暮らしの保健室」がある。 地域で長く訪問看護に携わる秋山正子室長が11年に開いた。病気や障害、住まい、お金。 「高齢者は個々に様々な問題を抱えている。 一人ひとりに向き合い寄り添うことが大切」と秋山室長。相談は年間延べ800件近くに上る。

■ 官と民が手をつなぎ、医療や介護など縦割りになりがちな支援策を橋渡しし、高齢者の暮らしに目を配る。こうした活動を広げることも、首都の超高齢化を乗り切る条件になる。