<前回に続く>

■30年までに市町村の3割は人口が2割以上減る。この間、現役世代は1千万人近く減り、国民の3人に1人が引退世代になる時代が到来する。世界に例のない人口の病をどう克服するのか。

■中心に住民移転
北海道夕張市。11年に廃校になった旧夕張小学校は、農場に生まれ変わっていた。体育館でホワイトアスパラやチコリなどの西洋野菜が育ち、校庭ではトウモロコシが実る。「百貨店の物産展に出品し、雇用を増やしたい」。学校を市から譲渡された社団法人の安斉尚朋(41)は意気込む。

■人口減にあえぐ街にとって夕張は1つの解を示す。住民の流出で財政破綻に至った衝撃から、官民を挙げた街のリストラが進む。東京23区が収まる面積に学校は小中高それぞれ1つ。残りは農場や介護施設、郵便局への転用を決めた。公営住宅の入居者の中心部への移転も数千人規模で進む。

■人口減が招く危機は社会の傷みだけではない。内閣府の分析では人口が集積する地域ほど交流を通じてイノベーションが生まれ、経済成長力が高い。人口密度の低下は経済活力を損ない、さらなる人口減を招く悪循環にはまる懸念がある。

■夕張は破綻した07年までの10年間で人が4分の1減った。国の推計を分析すると、30年までに破綻前の夕張以上の人口減に直面する市町村は全体の1割強、223にもなる。各地で「次の夕張」が続出しかねない。

■少子化対策と同時に、人がさらに減る未来を前提にした社会の再設計が要る。夕張市長の鈴木直道(33)は訴える。「自分の街を縮小させることはつらいが、住民も政治家も将来を考えて決断すべきだ」