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関係医学会も打ち出した終末期の「脱延命治療路線」■次いで、老人医療に関わる医師たちの関係学会が、こうした動きを捉えて新しい指針を打ち出してきた。

■日本老年医学会は2012年1月に「立場表明」を改訂し、「(胃瘻造設を含む)経管栄養や、気管切開、人工呼吸器装着などの適応は、慎重に検討されるべきである。すなわち、何らかの治療が、患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢として考慮すべきである」と新たな立場を発表した。

「(胃瘻など)高度医療の投入は必ずしも最善の選択肢ではない」という思い切った路線転換である。

■日本透析医学会も2013年1月に、終末期の患者家族が希望すれば透析の中止や開始の見合わせを可能とする提言をまとめた。

■また、昨年8月に首相に提出された「社会保障制度改革国民会議」の報告書でも、死について言及している。国の審議会が死に触れたのは初めてのこと。

■ 「医療のあり方については、医療提供者の側だけでなく、医療を受ける国民の側がどう考え、何を求めているかが大きな要素となっている。超高齢社会に見合った『地域全体で治し・支える医療』の射程には、その時が来たらより納得し満足できる最期を迎えることのできるように支援すること――すなわち死すべき運命にある人間の尊厳ある死を視野に入れた『QOD(クォリティ・オブ・デス=死の質)を高める医療』――も入ってこよう」と、QOL(生活の質)と並ぶQODという新しい視点を指摘した。

■さらに「病院完結型」の医療から「地域完結型」の医療への転換には「高齢者が病院外で診療や介護を受けることができる体制整備が必要」と説く。

■ 「納得し満足のできる最期」を死のあるべき姿であると記し、そのためには「脱病院」が必要と記した。画期的な提言である。

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