<前回に続く>
■介護保険制度の発足で特別養護老人ホームやグループホーム、有料老人ホームの整備が進んだことも、病院死の減少に拍車をかけた。2005年からこうした施設やケア付き住宅での死亡率は3.5ポイント上昇しており、病院死の減少分3.8ポイントにほぼ相当する。自宅死はこの間わずかに0.6ポイントしか増えていない。

■厚労省の「脱病院死」への支援策も功を奏している。特別養護老人ホームやグループホームなど居住系サービスで「看取り」を実施すれば、介護報酬に加算を付けるようにした。

■2012年には、有料老人ホームにもこの措置を拡大。厚労省が「最期の時を迎えても、今まで通りの施設暮らしを続けてほしい。病院に搬送しないで」というメッセージを積極的に送り出したと見ていいだろう。

■病院死が少なくなれば、医療保険の負担が軽くなる。介護保険のサービスを十分使い切って、できるだけ病院に寄りつかなくする。高齢化が今後さらに高まるなか、財源不足は深刻な問題。まずは、医療保険の支出を抑えようと財務省は主張し続けている。その方向へ舵が切られつつあるのは確かなようだ。在宅への流れ

■といっても欧米並みの病院死50%前後に到達するにはまだまだ先の話だ。地域包括ケアの目標年である2025年にはそのレベルに達しないだろう。厚労省が謳う地域包括ケアの実現には、地域での看取り、即ち「脱病院死」が欠かせないはず。地域包括ケアとは「病院等に依存しない住み慣れた地域で在宅ケアの限界を高める」ことと厚労省は説明している。そのためには、将来の病院死比率の目標数値を明確に打ち出すべきだろう。

■政策としては、訪問診療と訪問看護の浸透に拍車を駆け、24時間の継続される在宅ケアを一層推進していかねばならない。「死に方」は人間の尊厳に関わることである。そのためにも、自己決定による意志表明が重要である。