<前回に続く>

事業者の大規模化で「利用者の選択権」は? 
今回の審議案では、「効率的なサービス提供体制」=「大規模化の促進」と明確にはうたわれていません。しかし、個々の改定案をつぶさに見ていくと、結果としての「大規模化」を進める仕掛けがほどこされています。

■ここで、先に述べた通所介護の規模別の管理的経費の話を思い出してください。分科会で示された管理的経費のデータでは、「小規模事業者はスケールデメリットによりサービス提供のコストがかかる」ことが暗に強調されています。つまり、「事業所の大規模化を図ることで、全体としての介護費用の低下につなげる」という狙いが見えてくるわけです。

■問題は、事業者の大規模化が進むとして、地域における利用者の選択肢が狭まるのではないかという点です。利用者の主体的な選択と介護保険財政の健全化を天秤にかけたとき、国は後者に重きを置いていることが、今回の改正案で浮かび上がってきます。現場として、そうした国の姿勢をどう評価するか。頭に入れておきたい課題です。