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高齢者に費用厳しく 月10万円以下なら需要「郡部での拡大 困難」

 介護施設に空きがなく、自宅で暮らすのも難しい――。そんな高齢者や遠隔地の家族の一助にと、(サ高住)の制度はできた。その住宅が高知県で普及しないのは「高齢者の資金力」がネックになっているからだという。現場で何が起きているのだろうか。事業者や入居者の声を拾って歩いた。

 一般的なサービス付き高齢者向け住宅はマンションタイプで、1階に職員の待機所がある。介護事業所の併設も多い。日中は職員の定期巡回があるほか、急病などに備え、各部屋には緊急通報装置を設置。契約すれば食事も食堂で提供される。

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事業者と入居者の双方にとって最も切実な問題は、家賃やサービス、食事などを含めた月額の費用だ。

 旅館を改修した高知市浦戸の「グッドライフ浦戸」を訪ねた。

 運営会社の小原俊治社長によると、15万円程度で準備を進めていたが、高所得の高齢者が少ない高知県の実情を踏まえ、9万円台に引き下げて開業した。

 「経営は楽ではない」と小原社長。生活保護受給者や高齢者本人の年金のみで月額費用を賄うとすれば、「高知県の場合、月額10万円が(最高)ラインでは」とみる。

 県外では、低価格に特化し、軌道に乗った例もある。  
青森県のNPO法人「ラ・シャリテ」は独自手法でコストを抑え、東北地方を中心に約80棟を展開中だ。

 「木造2階建て14~16室」の統一設計図を土地の所有者らに提供して施設を建設してもらい、完成後は借り上げて運営する。この「サブリース方式」で初期投資を抑えている。

 高知県では、医療法人「みずほ会」(須崎市)の高橋啓文理事長がこの方法に注目し、NPO法人「ラ・シャリテ」の中四国支部を設立。昨年1月には高知市鴨部に「シニアパンション高知・鴨部」を開設した。

 月額は8万円前後で満室が続く。高橋理事長は「この価格帯はまだ需要がある」。既に愛媛県にも展開している。

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