<前回に続く>
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 「周りから『まだ早い』って言われたけど独りだったからね。新築やし、きれい。年金は少ないから、家を売って入りました」

 2013年9月にできた高知市若草町の「絆・わかくさ」で、70代の女性入居者はそう話してくれた。

 月額は12万~15万円台で、全室25平方メートル以上。「家族も泊まれる」が売りだ。

 数百円の実費負担で参加できるレクリエーションも連日企画しており、運営法人の竹内幸治社長は「うちはフル装備。朝から晩まで積極的に入居者を楽しませたい」と話す。

 高知市上町3丁目の「ウェルライフ上町」は和建設が運営する。和建設が強調するのは「あくまで住宅」。分譲マンション需要の先細りを見通し、高齢者住宅の自社モデルを構築したいという。

 窪内昭人マネジャーは「高知のパイ(総需要)は限られている。今後はカルチャークラブやショッピングスペース、若者住宅との複合型など、新たな発想が必要だ」と言い、現状と同じ形での事業拡大には慎重だ。

 事業者側にとって、高知県は必ずしも好条件と言えず、開業後に入居がなく撤退したケースもある。

 登録を済ませながら、住宅建設を見合わせている法人の担当者は「郡部での拡大は厳しい」と明かした。

 「所得の低さに加え、田舎では家族側に『施設へ入れる』という抵抗感がある。持ち家が多いこともハードルになると分かった」

 今後の普及については「ビジネスの側面と地域福祉のニーズが合致し、行政も一体で進めなければ、特に郡部では難しいのではないか」と話している。