今年の介護事業所の倒産、過去最悪ペース- 改定と人手不足が影響? 東京商工リサーチ
(キャリアブレイン 2015年5月28日)

介護事業所の倒産件数が増えているという記事が掲載されています。今後、更に深刻になる状況が予測されます。4月からの介護報酬改定がどの程度の影響を及ぼすのか、想像がつきません。
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■今年に入り、有料老人ホームや通所介護事業所などの倒産が過去最悪のペースで増え続けていることが、東京商工リサーチの28日までの調査で明らかになった。

■今年1月から4月までの倒産件数は30件を超え、過去最多の倒産件数となった昨年の同期の6割増しとなっている。急増の理由について東京商工リサーチでは、2015年度の介護報酬改定が9年ぶりのマイナス改定となったことや深刻化する人手不足が、事業者の経営意欲をくじいたためと分析。

■今後、マイナス改定の影響が各事業所の業績悪化として顕在化すれば、さらに事業所の倒産に拍車が掛かる可能性もあると指摘している。【ただ正芳】

■東京商工リサーチでは、今年1月から4月までにかけての有料老人ホームや通所介護事業所、訪問介護事業所などの倒産件数やその負債総額などについて、調査・分析した。

■その結果、今年1月から4月までの倒産件数は31件で、過去最多の倒産件数を記録した昨年の同期(19件)と比べて63.1%の増加となった。また、負債総額も34億3300万円で、昨年同期(28億2900万円)から21.3%増加した。

■今年に入って倒産した事業所をサービス種別で見ると、最も多かったのは「訪問介護事業所」(12件)で、「通所・短期入所介護事業所」(11件)がこれに次いだ。また従業員数別では、「5人未満」(21件)が最多で全体の67.7%に達した。さらに、設立年数で最も多かったのが「設立から5年以内」(19件)で、全体の61.2%を占めた。

2割負担導入で、さらに倒産拡大か

■倒産の原因別では、「販売不振(業績不振)」が11件で最多となり、以下は「事業上の失敗」(10件)、「他社倒産の余波」(4件)などの順。倒産の形態別では、「破産」が30件、「民事再生法の適用」が1件だった。

■調査・分析に当たった東京商工リサーチの担当者は、小規模の通所介護事業所の基本報酬が約1割引き下げられるなど、15年度の介護報酬改定は、規模が小さな事業所には特に厳しい内容だった上、8月には一部の利用者の自己負担が2割に引き上げられ、サービスの利用控えを招く恐れもあることから、「今後、介護事業所の倒産がさらに拡大する可能性もある」(情報本部)と警鐘を鳴らしている。