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背景にある介護ニーズの増加と介護保険制度の改正

ローソンは、「高齢化や健康意識の高まりを受け、社会変化に対応した次世代コンビニモデルの構築に取り組む」という。介護コンビニ展開の背景には、世界に先駆けた超高齢化社会の進展がある。日本では10年後の2025年に65歳以上の人口が3658万人に達するとみられており、人口の約30%が高齢者になる。2060年には約40%になると予測されている。

要介護(要支援)認定者数も増加の一途だ。厚生労働省によると、2014年12月時点で602.3万人だという。なかでも、65歳以上の認定数の伸びが大きい(下図)。食品業界にとっても、介護に対応した商品やサービスへのニーズへの対応は急務なのだ。

介護コンビニの背景にはもう1つ、介護制度の改正もありそうだ。

2015年度に介護保険制度が改正され、市町村の判断でボランティア、NPOやボランティアなど事業者が拡大し、多様なサービスの提供が可能になるとみられている。

現在、身体介護の必要がほとんどなく、買い物や調理、洗濯、掃除といった生活面の一部に支援が必要な状態の「要支援」の認定を受けている人たちの訪問介護と通所介護(デイサービス)が、2015年4月から3年かけて市区町村の地域支援事業に移されることになったのだ。市区町村の財政状態や工夫次第で、介護サービス内容に差がつく可能性がある。

新たな受け皿になるのは各市町村と地域のボランティア。これまでは全国一律のサービスの種類・内容・運営基準・単価だったが、NPO、民間企業、社会福祉法人などの地域資源を効果的に活用できるようにしていくという。

例えば、コミュニティサロン、住民主体の運動・交流の場をつくったり、口腔ケアや栄養についてなど専門職が行う教室は通所介護として認定される可能性もある。

ここにコンビニはビジネスチャンスを見出したのかもしれない。
ローソンの「介護コンビニ」は介護業界でも“画期的な取り組み”と話題になっている。コンビニという立ち寄りやすい地元の店に介護食や介護関連商品を販売すれば、高齢者の需要を取り込める。介護食市場で強いのは現状では通販だが、介護食を扱うコンビニが新たな市場を開拓できるか注目される。

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