<前回に続く> グループホームだけ第三者機関の評価を義務に今回の改正も小手先だけか ■もうひとつ、厚労省は「質」の規制にも力を入れ出す。職員への研修を強化するとともに、外部からの評価制度を採りいれた。当事者評価に加えて第三者評価方式である。 ■全てのグループホームに第三者機関による評価を義務付けた。それも毎年である。「玄関に日中鍵をかけているか」「入浴支援はどのようにされているか」など多数の項目にわたって評価員が現場を訪問してチェックする。結果はネット通じて公表されるので、事業者は真剣に受け止める。 ■特養や老人保健施設(老健)、特定施設(介護付き有料老人ホーム)など他の入居施設では義務付けされていない。評価を受けるかは事業者の判断次第であるのと大違いだ。 ■第三者評価制度の徹底がグループホームの質の向上をもたらした。全国的な底上げにつながったことは間違いない。他の入居施設と比べて、グループホームのケアに信頼が寄せられた。その効果は大きい。第三者評価の導入は厚労省のヒット施策と評価していいだろう。 ■このほか、グループホームについての今回の制度改定を見ると、これまで認めていなかった特養と老健への併設を認め、夜間の宿直職員への報酬に加算付けし、看取りの加算増額を決めた。いずれも小手先の改正である。 ■なかで、大規模の特養や老健との併設は問題を孕んでいる。「グループホームは家庭的な環境と地域住民との交流が大切」と厚労省も認めているにもかかわらず、集団管理や閉鎖性が問題視されている大規模施設に隣接されるのは疑問だ。大規模施設は個別ケアや地域交流とほど遠く、グループホームとは対極を成す「抵抗勢力」と言っても過言ではない。後ろ向きな改定と言えよう。 ■では、グループホームの他の認知症ケアはどうか。 ■認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)では、小規模多機能型居宅介護などと同様に新たに運営推進会議の設置を義務付け、いわゆる「お泊りデイ」を届け出制にすることにした。前例があるため、ほとんど新味がない。 今回の改定では全く感じられない認知症施策への切迫感 ■今回の改定に批判的な公益社団法人「認知症の人と家族の会」は同分科会に意見書を提出した。当事者に最も近い団体の考え方を知るうえで重要である。   ■主な項目を見ると、(1)認知症がある場合は要介護1以上とするシステムの導入 (2)介護サービスの利用前の相談援助に応えたケアマネジャーに報酬を出す (3)小規模多機能型居宅介護の報酬を引き上げる――である。 ■さらに、認知症施策推進5ヵ年計画(通称・オレンジプラン)にも言及し、「認知症初期集中支援チーム及び認知症地域支援推進員の全市町村への配置を国の責任において早期に実現する」とある。 ■オレンジプランが別建て政策となっていることがよく分かる。本来、介護保険法の中に取り込み、全国的施策として実行すべきなのに、まだモデル事業止まり。同分科会ではその議論はなく、全体として認知症施策への切迫感が感じられなかった。残念なことである。