<前回に続く> 5ユニットを止め「量」の規制へ入居者数を18万人に留める「元凶」とは ■その多くは、新規事業への関心、意欲に欠ける社会福祉法人関係者からだが、厚労省としても「量から質への転換」に乗り出さざるを得なくなる。そうしたなかでまず、「量」の規制から着手した。 ■1ヵ所で最大5ユニットまで認めていたが、3ユニットに縮小、その後2ユニットまでとさらに規制を強めた。ユニットとはグループホームの単位のこと。1ユニットの入居者は9人まで。実際は、基準が3人ごとに設けられているため6人か9人で運営されるが、6人では採算がとり難いので事業者の大半は9人形式を選ぶ。 ■当初は、5ユニットまで、即ち最多45人の利用者を集めてよかった。5階建ての建物内に、各フロアそれぞれ1ユニットずつ設けていた事業者もあった。入居者が多いと、ウマが合う、合わないで生じるトラブルが起きた時に、違うユニットに引っ越してもらうのが容易で、運営しやすい。同じようなライフスタイルの利用者が同じユニットで暮らせば、気心が知れて生活しやすい。認知症でも、感情は十分生きている。 ■この連載の17回目(2014年11月19日付け)でオランダの実例を挙げて示しているように、ライフスタイル重視は洋の東西を問わない。 ■さらに、2006年度からグループホームの管轄が都道府県から市町村に移り、新設への抑制が一段と強まった。「地域密着サービス」の新概念を介護保険に導入して、小規模な介護サービスは住民に密着した身近な市町村におろしていくことにした。この考え方そのものは、地方分権、地域主権の流れに沿うもので是認できる。 ■だが、介護保険制度では、都道府県と市町村ではその役割に別の要素が絡み、権限や責任が全く異なる。都道府県は広域的な視野で介護サービスを見守る立場だ。一方、市町村には、介護サービスを整える責任があり、そのために65歳以上の住民から保険料を徴収する権限もある。保険料は、サービスが増えれば増額せざるを得ない。金額の決定権は都道府県でなく市町村だ。 ■保険料は年金からの強制徴収なので、住民は税と同じように受けとめがち。少なければ少ないほど良し、に傾きやすい。つまり、市町村としては。介護サービスの充実よりも目先の保険料の抑制に力が入る。そこで、介護サービスをできるだけ増やさない施策に走る自治体が大半を占める。 ■グループホームがその「犠牲者」となってしまった。多くの市町村は、3ヵ年の介護保険事業計画の作成時に、グループホームの事業所数を決め、それ以上の増設にストップをかけだした。公募制を採用して、市町村が事業者を選別することが当然となっている。 ■それまでは、事業者が新設の書類を都道府県に持ち込み、運営基準に合致していれば都道府県は拒否できなかった。介護保険法では、介護サービスを許認可業務としていないからだ。手続き上、都道府県は一応該当の市町村に照会するが、例えその市町村が応諾しなくても「県全域を見れば必要」と判断して、開設に応じてきた。それが一転、市町村の裁量に委ねられてしまった。 ■こうして、国と市町村の抑制策が強化されれば、事業者の開設意欲が萎えてしまうのは自然の成り行きだろう。当初の国や自治体を挙げての前向きな姿勢は完全に消えてしまった。 ■介護保険法施行後15年経った今、グループホームの入居者はわずか18万人台にとどまっている。認知症高齢者は400万人を超え、少なくともその2~3割は自宅介護が難しい状態だ。グループホームは圧倒的に足りない。 ■その抑制策の「元凶」が厚労省の「2ユニット規制」であった。その規制を3ユニットに緩和することが、今回の改定で決まった。わずかに1ユニット増やしただけだ。当初の5ユニットに戻すのであれば、拍手をしてもいいが、1ユニット増ではあまりに物足りない。 ■加えて、市町村の規制は残したままである。3ユニットに増やしても、各自治体が総ユニット数を抑制している限り、その効果はたいして望めないだろう。 <次回に続く>