Aging in Place 、すなわち「老いても住み慣れたところで住み続ける」という傾向が 昨今強まる中で、今後ますます高齢化率の上昇とともに、高齢者の居住地域のあり方が、 ますます問われる状況となっています。ひとつのモデルケースとして、 米国のNORC(Naturally Occurring Retirement Community = 自然発生的 リタイアメントコミュニティ=居住者に占める高齢者の割合が著しく高くなった住宅群 あるいは集合住宅を指すもの) について勉強する。 米国の高齢者像について一般的に言われている言葉として、“Productive Aging”があ ります。つまり、『高齢期になってもできる限り社会の中で何か役割を担い、サービスの 「受け手」としてよりも「担い手」であり続ける』という思想である。高齢者自身が住み 慣れた地域社会で最後まで住み続けるという“ Aging in Place”を実現していく ためには、大変重要な鍵となる概念です。 NORC における支援サービスプログラムは、行政、住民、民間( 住宅会社、慈善活動団体、 保健医療事業者等) がそれぞれ資金、場所、活動等を提供しながら、地域の住民に対し、 サービスを提供しようというものです。各NORC では、基本的には 主体事業者が全般的なサービス( 多くが有償) をコーディネートしており、その事業者 とは別に福祉関連事業者、住宅関連事業者、その他事業者と連携しながら多くの サービスを担っています。 NORC-SSP(NORC Supportive Service Program) のサービス内容は居住者の ニーズに応じて相違はありますが、共通するものもあります。共通するサービスは、 社会福祉関係プログラム、 保健医療関係プログラム、 教育的・娯楽的プログラム、 ボランティア活動プログラム の4 つです。 社会福祉関係プログラムについては、専任のソーシャル・ワーカーが中心となり、サー ビス等に関する情報提供や調整、公的な諸制度活用に関する相談や支援、日々の見守り、 アセスメント、家族とのふれあいなどを行っています。具体的には、家族・個人のカウンセ リング、ケアマネジメント、危機・緊急管理支援、自宅・病院訪問、金銭管理支援、配食 サービス、送迎支援、生活保護の相談、仕事の紹介、電話による元気づけ、買い物支援な どです。 保健医療関係プログラムについては、訪問看護協会などの機関とあらかじめパートナー シップ契約を結び、担当看護師が個別に訪問し、健康相談や指導を行う。地域の保健 医療機関と連携して様々な予防プログラムを実施したり、精神科医等の派遣を受けたりし ている事例もあるようです。具体的には、医療相談、血圧測定、健康情報・教育の提供、 精神的ケア、ストレス管理、看護師訪問、ダイエット教室などがあるようです。 教育的・娯楽的プログラムは様々なものがあり、昼食会を兼ねたレクリエーションプロ グラムなどは、外に出たがらない高齢者にとっては効果的なサービスのひとつのようです。 具体的には、映画鑑賞、読書会、唄を歌う、小物創作、ヨガ、ゲーム、コンピューター教室、 小旅行、ボランティア活動、友人との交流、世代間交流、昼食会、セミナー聴講 自宅リ フォーム等です。 こうしたプログラムは高齢者自身の積極的なボランティア活動により支えられていること も多く、また、高齢者以外の居住者がボランティアとして各種行事等の支援を行うほか、 寄附などを通じてプログラムを支えています。 これからの取り組みに大変参考になる事例です。現在ニューヨークには既に30ヶ所近い NORCがあるようです。