<前回に続く>

新たな転換先候補はどうなる?  では今後、どんな見直しが行われるのでしょうか。  気になる介護療養病床の存続の可能性ですが、厚労省の担当官らが2017年度末での廃止方針に変わりはない旨を公言していることから、廃止期限の再延長や廃止方針の撤廃の可能性は現時点ではゼロに近いようです。

ただし、医療ニーズや看取りへの対応をより充実させた形態は残す必要があるとの判断から、2015年度介護報酬改定では「療養機能強化型の介護療養病床」(機能に応じたAとBの2種類)が創設されました。介護療養病床廃止後はこの類型をベースに新カテゴリーができるとみられます。とすれば、療養機能強化型になれない「その他」の介護療養病床はどうすればよいのでしょうか。  かたや医療療養病床ものんびりと構えてはいられません。25対1医療療養病棟自体は、病院全体で看護職員を20対1以上配置していれば、2018年度以降も存続する可能性はあります。しかし、医療機能が低い場合には、医療保険からの“退場”を余儀なくされ、病院病床として認めてもらえなくなるといったことも起こり得るでしょう。  さらには、看護師の確保が困難になることが想像に難くありません。医療法上の人員配置標準の経過措置切れまでに、介護療養病床からの転換組、また現行の 25対1医療療養病棟の多くが、恐らく20対1以上配置を目指すことになります。その中で人材確保に苦戦すれば、病院病床としては生き残れなくなります。 一般病床の一部にも逆風が…  療養病床再編の余波は、一部の一般病床にも広がりそうです。地域医療構想では、一般病床の障害者・難病患者と、医療必要度の低い患者(入院基本料およびリハビリテーション料の一部を除外した1人 1日当たりの医療資源投入量が175点未満の患者)は、慢性期機能の医療需要と位置づけられました。前者の一般病床の障害者・難病患者とは、障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料・入院医療管理料を算定している患者を指します。後者の医療必要度の低い患者の多くは15対1一般病棟入院基本料の算定病棟で比較的多く抱えていると思われます。  地域医療構想での整理を見る限り、同じ慢性期機能の担い手として、15対1一般病棟、障害者病棟、特殊疾患病棟と、療養病棟との間で患者の病態が同じであれば、療養病棟入院基本料と同一の報酬体系にするなど大胆な見直しが行われる可能性もあります。  現時点では予測しかできないとはいえ、これまでの政策の流れや、関連する他の審議会の協議内容などからある程度今後の方向性が見て取れます。本特集では、慢性期医療・介護サービスの提供体制の見直しに関する2018年度までのタイムスケジュールを示し、慢性期入院関連の見直し内容を大胆に予測。さらに、改革を見据えて病棟再編にいち早く着手した病院や、独自路線を進む病院の戦略にも迫りました。