<前回に続く>

介護サービスが外付けモデルだけに、複数の事業を抱えることになります。有料老人ホーム事業、訪問介護事業、通所介護事業と同一建物内にあれば当然減算対象となるのですが、問題は、複数の事業を抱えるために、それぞれの人員基準の縛りを受けて、どうしても人員過多になる傾向があります。

複数の事業を行うことで効率性を求めれば、兼務体制をつくることが求められるのですが、各事業の縛りにより、重複する部分が出て参ります。それが一つには人件費過多となる傾向があるのです。介護比率(スタッフ1人で何人の介護をしているか)でみれば、特養は平均3人と言われますが、介護型の有料老人ホームでは2人が一般的ではないかと思います。複数の事業を併用し、一定の介護度の方のケアを行おうとすればこの2人に到達するのも困難となります。併設タイプの宿命と言えます。

我々は多くの施設において、この数字をクリアーできなかったのです。それを克服する方法として、併設タイプの小規模デイの廃止にまで踏み込みましたが、最盛期でも1.5人程度でした。後にその方法を見出すことになるのですが、その対策が遅れたことにより、革新的な収益改善が図れなかったことも一つの敗因でした。

その改善の為の経営管理指標は最後の指標である⑤「総労働時間に占める介護保険サービス時間比率」でした。要は施設内の従業員全員のタイムマネジメント(効率的なシフト管理)がカギを握ることに気付いたのです。この比率が施設の生産性を決定づけます。

総労働時間に占める介護保険サービス提供時間が50%を超えることができれば人件費比率を40%程度まで抑えることが可能となるのです。

そして、一人当たりの時間当たり売上高が3000円を超えて参ります。この人時生産性ことが、これらかの施設の存続を決定づける重要な要素なのです。それ以下では、売り上げと人件費のバランスがとれず、結果として人件費は50%を超えることになるのです。その方法については最後の今後の対策で述べて参りたいと思います。

<次回に続く>