<前回に続く>

☆老後リスク(3)「買い手のつかない負の資産化」
 マンションよりも一戸建てを選んだ理由に、「資産性」を挙げる人は少なくありません。たしかに、市場価格で資産価値が決まるマンションよりも、土地価格で決まる一戸建てのほうが安心というのが、従来の考え方でした。

 ところが、現在、空き家率は過去最高の13.5%(平成25年 総務省「土地統計調査」)。20年後には30%を超えるという予測もあります。いくら土地があっても、いざというときに買い手が見つけられなければ、実質的な資産価値はゼロと同じです。

 子どもに財産として残してあげるつもりが、逆に残すことで迷惑をかけることになるケースも出てきています。
 たとえば、
「郊外で通勤に不便なので住めない。賃貸に出したり、売りに出したりしたいが、借り手も、買い手もつかない」「空き家のまま放置するわけにもいかず、手入れ・管理が大変」「かといって、空き家を壊して更地にするには解体費用がかかる」

 都心のマンションであれば、これらの問題で頭を悩ませることがないため、売れる今のうちに、一戸建てを処分する人が増えているのです。

住み替えを決意するならマイナス金利の今が狙い目!

 住み替えるときの資金計画は、今の家を売却してローンを完済し、残債をゼロにする。そして残ったお金があれば、住み替えの家の頭金にするというのが理想形です。

 この場合、何十年も前に今の家のローンを組んだ人は、現在の低金利で新たに住宅ローンを組み直すことになるため、借り換えと同じ効果も望めることになります。

 一方、今の家の売却代金だけでローンを完済できない場合は、住宅ローンではなく、「住み替えローン」を組むことになります。審査は厳しく、金利も少し高めとなりますが、住み替え物件の購入代金や諸費用分に加え、前の家のローン残債を上乗せして借りることができます。

 ここで一昨年、50代で埼玉県の郊外から都内に住み替えをした、Aさんご夫婦のケースを見てみましょう。

<次回に続く>