<前回に続く>

車が不要の好立地へ住み替えで家計負担も大幅にカット!

 Aさんご夫婦の前居は1階がLDKと和室、2階に洋室と2つの寝室がある典型的な4LDKで、延べ床面積が約140²という広めの一戸建てでした。庭がお気に入りで、20年間暮らしましたが、駅や商業施設、病院などから遠いため、夫婦それぞれが車を所有するなど、維持費やガソリン代で月々かなりの金額におよんでいました。

 そこで、子どもが独立した後、車を手放すことを前提に、利便性の高い都内への住み替えを検討し始めました。車の維持費を考えれば、多少、住宅ローンの返済額が増えても、トータルでトクをするという考えからでした。

 1年ほど物件探しを続けた結果、希望どおり、都内で駅から徒歩10分圏内の新築マンションを購入することに決定。同時に進めていた前居の売却話も約2500万円でまとまり、住宅ローンの残債約300万円を差し引いた約2200万円を新居の頭金に。そして、購入代金の約4000万円に対し不足する1800万円は15年返済の住宅ローンを組みました。


DK/約140² 広い一戸建ては夫婦2人暮らしなので、2階にある独立した子ども部屋は物置状態。掃除のために階段を昇降するのにひと苦労だった
after 2
LDK/約70² 夫婦2人には標準的な広さのマンションで収納が充実。Aさんにとっては駅前という立地条件が購入の決め手になった

 新しい住まいは2LDK、約70²。都内の新築マンションとしては標準的な広さですが、140²あった前居からすると、半分の広さしかありません。しかし、階段のスペースがなくなったことと、住み替えに当たって不用品を処分したことにより、「数字的には狭くなりましたが、不自由さはまったく感じていません。駅近になったぶんフットワークがよくなり楽しみが増えました」と言います。

 これまでは車での移動がほとんどだったため、ご夫婦二人でお酒を飲みに行くようなことはほとんどなかったそうですが、そんな楽しみも加わり、新しい生活を満喫しているそうです。

 また昨今、高齢者の交通事故も話題になっていますが、そこには「危険を承知でも車がないと生活できず手放せない」という背景があります。車のいらないエリアへの住み替えは経済面だけではなく、そうしたリスク面でもメリットがあります。

 ここまでは、郊外の一戸建てから都心の分譲マンションに住み替えるパターンを中心にご紹介してきました。ほかにも、広めの分譲マンションから、より狭い分譲マンション、また賃貸マンションなどに住み替えるという選択肢もあります。

 次回は、それらを踏まえながら、住み替えのメリットや成功させるポイントについてお話しします。


都心の小さな家・マンションに住み替える コンパクトで快適、自由なこれからの暮らし
sumica
/豊田眞弓 監修
定価:本体1500円+税

都心の小さな家・マンションに住み替える

昭和の価値観で夢の「郊外庭付き一戸建て」を手にしたものの、駅や生活施設も遠く、今では使わない子ども部屋や庭をもてあます。今、こんな悩みを一挙に解決しようと都心の小さな家に住み替える人が続出しています。住み替えで便利・快適な住まいを手にした多数の事例や、失敗しない住み替えノウハウを徹底解説