<前回に続く>

利用者にとっては「囲い込み」ならではのメリットも


では、利用者にとって囲い込みは本当に不利益なのだろうか。

 要介護者にとっては、要介護になった初めの症状から今の状態までずっと理解してもらえる医療・介護者がいれば心強い。複数のサービスを使っていることが多いので、制度上は全体のサービスを組み立てるケアマネジャーがその役割を担う。

 個別サービスの担当者がいつまでも変わらないのが利用者にとって喜ばしいこと。とりわけ、認知症高齢者には、おむつ交換や入浴介助をするスタッフとは信頼関係が重要だ。認知症になっても感性は生きている。できるだけ少数の介護者がほぼ専属的に関わる形式がいい。北欧では、こうした特定の介護者を「キーパーソン」として制度化している。個別ケアの徹底にもつながる

 24時間の切れ目ないケア手法を導入したグループホームと小規模型を見ればよく分かる。いずれも限られた少人数の利用者に、やはり少人数のスタッフが生活全般を支援する。今の介護保険制度では、利用者にとって「あるべきケア」と言われ評価が高い。だが、囲い込みそのものである

 小規模型を登場させたときに、厚労省は「通い」と「訪問」、「泊り」の3機能を「できるだけ同じ介護スタッフが同じ利用者に付く」と説明した。通所介護(デイサービス)と訪問介護、短期宿泊(ショートステイ)の3サービスを統合、一本化したのが小規模型。利用者25人を上限にして囲い込んだのである。

 この囲い込みに医療が加われば、利用者にとって安心度はさらに高まる。転倒骨折や認知症の初期症状、脳卒中などでまず医師の診察を受け、それから介護保険のサービスを受けるのが一般的。医療カルテや映像を含めて、介護スタッフにも情報が共有されれば、利用者の全体像を把握しやすい。介護保険の利用のスタートは医療から始まる。本来はケアマネジャーが得る情報だが、医療データがなかなか伝わらないのが現実でもある。

そこで、医療と介護が同じ法人グループであれば、データやサービスの実績が相互に伝わりやすい。

<次回に続く>