ジャーナリストの矢部武氏のレポートをご紹介致します。日本のあるべき介護の姿を明確にせねばなりません。人材確保をどのように対策したのか、日本でもこれくらいの改革を行わねば、このままでは日本は沈没してしまいます。福祉目的税としての消費税アップ並びに、施設の廃止、在宅への転換、介護士の公務員化、と思い切った手立てが必要です。デンマークの取り組みは大変参考になります。

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「介護先進国」デンマークから日本が学べること

2017.04.06 ジャーナリスト 矢部 武

ものすごい勢いで高齢化が進む日本の大きな課題は、介護サービスの需要の増加に人材の供給が追いついていないことだ。特に団塊の世代が75歳になり始める2025年には、介護を必要とする人の激増で介護職員の不足がおよそ37.7万人にのぼると言われている(厚生労働省の推計)。人材不足の背景には介護職員の低賃金(安すぎる介護報酬単価)や過重労働、介護保険制度の財政難などの問題がある。

一方、「世界一幸せな国」のデンマークは「介護先進国」として有名だが、高齢化に伴う介護費増加の問題を「施設から在宅介護への転換」政策でうまく乗り切った経験を持つ。デンマークの介護システムから日本が学べることをさぐってみよう。

必要な介護を無料で受けられる安心感

日本の介護保険制度の利用者からみれば夢のような話かもしれないが、デンマークでは65歳以上の高齢者は必要な介護サービスをいつでも無料で受けられる。

しかも住み慣れた自宅で生活しながら在宅介護を受けるか、介護施設に入るかを自分で選択できる。それは在宅介護を選んでも、施設にいるのと同レベルの介護サービスを受けられる体制が整っているということである。

実際、高齢者の多くは住み慣れた家にずっと住みたいと思っているので、施設か在宅介護かを選べるというのは重要だ。また、在宅介護を選んだ人は掃除、洗濯、調理、買い物などの生活支援も受けられる

日本の介護保険利用者の中には、「利用制限が多すぎて必要なサービスが受けられない」と不満をもらす人が少なくない

例えば、東京都社会福祉協議会が実施した「介護保険利用者のアンケート調査」(2009年)でも、訪問介護サービスを利用する上での不便・不都合なこととして、「サービス時間が短いのでお願いしたいことも我慢している」「家族が働いていたり、体調が悪かったりして家事ができなくても、同居していると調理や掃除などの生活援助サービスが受けにくい」「夜中の介護が必要な時間にヘルパーに来てもらえないことがある」などの回答が多く寄せられている。

このように介護保険制度では必要なサービスをなかなか受けられない上に、2015年8月から利用者の自己負担が一定収入以上(前年の合計所得金額が160万円以上)の人は1割から2割に引き上げられたことで、人々の不満は一層高まっている。

<次回に続く>