<前回に続く>

6期連続プラス成長

  設備投資が経済を下支えする構図は徐々に生まれてきている。4ー6月期の実質国内総生産(GDP、速報値)では、設備投資は2.4%増となり、個人消費や公共投資の増加とあわせ、リーマンショック前の2006年4ー6月期以来11年ぶりとなる6期連続のプラス成長を内需が主導した。

  メリルリンチ日本証券の3月のリポートによると、日本のIT化投資は、今後、最大で年率9%伸びると予想している。同リポートは富士通や大塚商会、トレンドマイクロといったIT関連銘柄は恩恵を受けるだろうとしている。

  日本の生産性は他の先進諸国と比べて遅れており、投資余地も大きい。 日本生産性本部によると、15年の日本の時間当たり労働生産性は、44.8ドル(4718円/購買力平価換算)で経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中19位。

  製造業の95年以降の生産性上昇率平均値は3.3%と、先進7カ国(G7)で最も高くなっている一方で、卸小売・飲食宿泊業は0.2%減と、イタリアと並び最下位となった。製造業ほど国際競争にさらされていないサービス産業で業務の効率化やIT化が遅れている。

  身近なコンビニでも省人化投資の動きが出ている。ローソンは昨年12月、パナソニックと共同で大阪・守口市の店舗で完全自動セルフレジ機「レジロボ」の実証実験を行った。

  客自身がバーコードを読み込んだ商品を専用かごに入れ、かごごと専用レジに設置するだけで自動的に精算と袋詰めをするシステムで、店舗業務の省力化につながる。2月には、商品のバーコードの読み取りが必要ない電子タグ(RFID)の実証実験を実施した。

  ローソン広報担当の李明氏は「技術が進歩しており、将来的に少子高齢化が進むので、店舗での生産効率を高める必要性がある。レジロボなどのような効率化を高める設備を導入して、長期的な観点で戦略的に取り組んでいる」と述べた。

  メリルリンチ日本証券のデバリエいづみ主席エコノミストは、人手不足は日本のサービス産業に投資を始めさせ、経済再生を促す機会となるだろうと指摘。「これは日本にとって最大のチャンスだと思う」と述べた。