引き続き、岐阜県立看護大学の研究報告「イタリアにおける地域精神保健医療システム」より。
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4.強みや健康な部分を生かす
バザーリアは精神病を否定したわけではなく、病気を持っている人がいても、その人の強みや良い部分、健常な部分を生かしていこうスタンスを持っており、それが改革当時の長期入院患者の回復と退院へのモチベーションを高めることにつながっていたと思われる。

そして、それまで患者の狂気に焦点をあて病院の所有物の一つとしか見ていなかったスタッフが患者の強みや健康な部分に目を向けることで、患者を一人の人間として捉え、自分自身も一人の人間として患者と向き合うことを可能にした。

クラブジップのロベルト看護師は、バザーリアの言葉を引用しながら、精神的な問題がある人でも健常な部分を活かせば、サッカーの試合にも出られるし、バレーボールもできると話していた。

自分の得意なことを活かせば、社会協同組合で働き、相当の収入を得ることもできるのである。ここに、個人の能力を削ぐことなく最大限に生かして地域社会のなかで普通に暮らすことをサポートするためのヒントが含まれていると考える。
・・・日本には授産所という言葉があります。社会協同組合とは根本的に違います。隔離された環境

の中での仕事を意味しています。この考えを根本から改めねばなりません。〈コメント)

「授産所
(じゅさんじょ, Sheltered workshop)とは、障害を抱えた人々を他より隔離された環境において雇用する事業所や団体である[1]援助付き雇用と異なるのは、これが一般雇用から切り離された部門で行われる点である[1][2]。授産所の設置は生活保護法を根拠とし、保護施設の一つとして、おもに政府機関や社会福祉法人などの団体によって行なわれている。」(ウィキぺディア)