<前回に続く>

住宅を求めている「住宅確保要配慮者」は特別な人たちなのだろうか。特別な人たちは、従来のあるべき基準を無視していい。狭い劣悪な住宅で我慢してもらおうということだろうか。

 国交省では、9㎡では狭いと感じているようで、「その代りに住宅全体の面積を広くとっている」と強弁する。

 住宅全体は「15㎡×入居者数+10㎡」という基準を設けた。例えば、3人の入居者が2階の3室の子ども部屋に入居すると、9㎡×3人=27㎡となり、全体面積は15㎡×3人+10㎡=55㎡。つまり1階が28㎡、2階が27㎡となるわけだ。取り立てて、一階が広いわけではない。

高齢者の場合、認知症ケアはどうする?

 第二の疑問は高齢者が入居した場合の生活とケアについてである。住宅確保要配慮者とはいえ、現実的に自宅に代わる「第二の自宅」を最も求めているのは高齢者である。それも要介護度の軽い、あるいは要介護直前の虚弱な高齢者だろう。初期だが確実に認知症ケアの必要性がありそうだ。

 しかし、要介護度が中重度にならないと特別養護老人ホームには入居できない。認知症の人の最適施設のグループホームは足りない。サ高住や有料老人ホームに入居するには金銭のゆとりがない。

 そんな高齢者にとっては家賃補助が出るこのセーフティネット住宅は誠に喜ばしい。では入居するとどうなるか。

<次回に続く>