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国の思惑、現状では外れている

しかし、入居者の9割は要介護・要支援認定を受けており、うち認知症の人が4割を占める。

高齢者施設の企画・調査をする「タムラプランニング&オペレーティング」代表取締役の田村明孝氏は「要介護の人が流れてきただけ。国が描いていない人たちが入ってきた」と話す。

長期間の入居ができ、費用も安い特別養護老人ホームへの入所待機者数は約52万人を突破。不足分をサ高住で補充しているのが実態だ。これでは、有料老人ホームと変わりがない。

 業界大手のニチイ学館では「入居希望者への説明が大変重要」(広報部)とし、入居条件に「自立した生活を営めること」と定め、入居後、自立が困難となった場合にはグループ内で展開する有料老人ホームなどへの住み替えを勧めているという。

 だが、事業者によっては差も。外部の介護サービスを契約する際、事業者とつながりがある会社のサービスしか使わせない「囲い込み」や過剰な介護が提供されたり、サービスの限度額いっぱいの利用を条件にする事業者もいて、厚生労働省が2年前、指導に乗り出したこともあった。

要は事業者の方針がまちまちで、提供されるサービス内容の基準のあいまいさが背景にあった。

国交省の今年2月の調査によると、入居前後に廃業したサ高住が125カ所もあった。国交省は「資材の高騰など、状況に応じて撤退することはありうる」(大島敦仁・安心居住推進課企画専門官)としているが、入居後の廃業となると別。入居者保護の観点からも大きな問題となった。

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