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2017/9/9 15:30神戸新聞NEXT
介護現場で起こるミスや事故の防止に向け、製造業の品質管理手法を導入する取り組みが、神戸市西区の高齢者施設で進められている。
兵庫県加古川市のコンサルタント会社と、施設を運営する社会福祉法人が昨年から3年がかりで研修を実施。ベテラン介護職が意識せずに行っている作業を図や写真とともに「見える化」し、利用者のけが防止にもつなげる。
給湯器大手ノーリツ(神戸市中央区)元品質保証部長の遠藤勇さんが2008年に創業したコンサル会社「遠藤メソッド」は、製造現場で、モノの出来栄えでなく人の作業に着目する管理手法を提唱する。
延べ約100社とコンサルタント契約を結び、製品の不良率を低減させるなど実績を上げてきた。営業企画部長で長男の友貴哉(ゆきや)さん(39)は介護職の経験者。以前勤めていた大慈厚生事業会(神戸市西区)との共同研究として、3年間の研修を進める。
「見える化」に向けては、作業と目視確認の内容を、図や写真で端的に紙にまとめたシートを作成する。「介護技術標準」と呼び、教育や現場の作業管理、人事評価に活用する。
車いすから立つ利用者を手助けする作業では、転倒防止のため、車いすの足置き板を左右に上げたときの角度が「床と垂直か」どうかを「正面から」目視する-と留意点をシートに記載。作業を細分化して示すため、利用者が車いすから立つ一連の動きでシートは5、6枚分になるという。
「介護をシステム化するなんて」と当初、現場には戸惑いがあったが、友貴哉さんは「ミスが減れば時間のロスも減り、コミュニケーションを増やせる」と強調してきた。施設の高齢者部門統括者、坂本和恵さんは「意識せずに行ってきた作業を明示するのは大変だが、人材確保の観点からも、教育の在り方を見直していきたい」と話す。(広岡磨璃)
■社会福祉施設の労働災害 県内で増加傾向
兵庫労働局によると、県内の社会福祉施設で発生する労働災害件数は増加傾向にある。2012年の275件から13年は270件に微減したものの、14年は297件、15、16年はそれぞれ349件だった。
移動中の無理な動作による腰痛や、入浴介護中の転倒が多く、死亡に至るケースは送迎中の交通事故がほとんどという。
同労働局は「建設業や製造業に比べ、介護の現場では事業者も労働者も安全に対する意識が低い傾向にあることが増加の要因ではないか」と指摘している。(末永陽子)
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