<前回に続く>
どうして施設の方が高コストであることを認めないのでしょうか?施設介護にメスを入れない限り訪問介護、生活支援をいくらやり玉に挙げても効果はないでしょうに。何がそれを邪魔しているのでしょうか?〈コメント)

月90回の訪問サービスが受けられなかったら?

 こうした在宅の要介護者が、もし月90回の訪問サービスを受けられなかったら、特別養護老人ホーム(特養)など介護施設に入居せざるを得なくなるだろう。その時の費用はどうなるか。

 東京都足立区の要介護4の高齢者の場合を足立区の担当者に試算してもらった。ユニット型の個室特養に入居すると、約35万円の介護保険費用が掛かる。

現在の自宅での費用は18万円だという。月90回の訪問介護を受けていても18万円で済んでいる。それが特養に入居すると、ほぼ2倍に増えてしまう。

 これでは、介護費用をできるだけ圧縮するという財務省の目的は達せられず、現状の在宅サービスの利用の方がはるかに安くなっている。

 窮屈な生活を強いられる施設入所よりも、自由な普通の生活を満喫できる自宅暮らしの方を選んだほうが、介護費用の「削減」に貢献していると言えるだろう。

 1人暮らし高齢者は今後確実に増えていく。記憶力が次第に衰え初期の認知症になり、身体の動きも緩慢となるのは必至である。「自立支援介護」と煽られても、人間は必ず旅立ちを迎える。

朝昼晩の食事や服薬サービスを受け続けて、施設入所を拒む判断こそは財源の面からも好ましいことだ。「問題事例」と言うよりも、逆に「模範事例」と見るべきだろう。