最近の認知症研究で認知症の原因の一つに難聴が挙げられていますが、高齢化が進むとどうしても難聴のリスクが高くなるのがわかります。コミュニケーション量を確保することが大事であることを改めて感じます。
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高齢者の4割超に「医師の話を聞き取れない」経験あり

提供元:HealthDay News

公開日:2017/09/13

 高齢者の4割超に医師の話を聞き取れなかった経験があることが、ユニバーシティ・カレッジ・コーク(アイルランド)医学部のSimon Smith氏らによる調査で明らかになった

患者と医師のコミュニケーションに問題があると医療事故が起きやすいため、同氏は「難聴の高齢患者が医師の話を聞き損ねたり、聞き違えたりすることで、思いがけない医療事故のリスクが高まる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。詳細は「JAMA Otolaryngology--Head & Neck Surgery」8月24日オンライン版に掲載された。

 Smith氏らは今回、コーク大学病院の60歳以上の外来患者100人を対象とした聞き取り調査を実施した。その結果、57人に難聴があり、特に80歳以上でその頻度が高いことが分かった。また、26人が補聴器を使用していた。

 さらに、43人が「診療所や病院で医師や看護師の話を聞き損ねたり聞き違えたりしたことがある」と回答。主な状況として、「言われた内容を誤解する」「医師の診断やアドバイスを正確に聞き取れない」「難聴が原因で全般的に医師とコミュニケーションが取れない」などがみられた。

 Smith氏は、医師や看護師、家族の間でのコミュニケーションを向上させることで、医療事故の36%を回避できるとする過去の研究結果を紹介。医療事故を防止する上で円滑なコミュニケーションが重要であることを強調している。

 ただし、同氏は「医師が大きな声で話せば解決する問題ではない」と指摘。「背景の雑音と話す声を聴き分ける機能は複雑で、音量だけの問題ではない」と説明する。補聴器の使用も、全ての高齢者に適した解決法とはならないという。このことから、同氏は「難聴を原因としたコミュニケーションの問題について、今後さらなる研究が必要」と話している。

 なお、米レノックス・ヒル病院のDarius Kohan氏によると、聴力の低下は60歳以降に始まることが多いという。特に医療現場では背景の雑音が会話での聞き取りを妨げる上に、医療従事者が話す内容は専門的でなじみがない言葉が使われる場合が多いため、既に病気に苦しんでいる患者にとってはストレスの多い環境といえる。こうしたことから、同氏は、静かな病室や診察室で医師、患者、家族だけで話すことを勧めている。

 一方、米ノースウェル・ヘルスのMaria Torroella Carney氏は「難聴があると脳への刺激が減り、記憶力も低下するため、適切に評価して治療する必要がある」としている。ただ、補聴器には保険が適用されないことが多く、購入をためらう患者は少なくない。そこでCarney氏は一部の患者に集音器(単純に耳の中で音を大きくする機器)を使用してもらっているという。「特に重要な情報を伝える必要がある場合には、集音器を使用することで格段にコミュニケーションが取りやすくなる」と同氏は話している。

 さらに同氏は「難聴は患者に孤独を感じさせ、QOLにも影響する」と指摘。認知機能の低下を予防するためにも高齢者には聴力検査を実施し、最善の対応策を見つけることが重要だとしている。