<前回に続く>
 
そこに備える意味でも心を動かされたオーナーは多いようだった。

■「最終的には『R65不動産』が無くなる世の中が幸せ」


他にも、照明メーカーのNECライティングに依頼し「見守り機能のある照明」を開発中だ。センサーで住人の異常をインターネット回線で大家に伝えるしくみで、来年春の発売を目指して実証実験も始まっている。


プライバシーの問題はあるかもしれないが、何かあった時早めに発見できれば、死後腐敗してから発見されるという最悪の自体は免れる。


山本さんは、単身の高齢者が借りにくい状況が徐々に無くなり、



「最終的には『R65不動産』という言葉が無くなる世の中が、僕らにとっても幸せだと思っています」


と語っていた。自分の会社の仕事が「本当はない方がいい」とは、なかなか言えない言葉だ。冒頭のUさんは、山本さんの尽力で希望通りの新居に移ることが出来ていた。


■「歳とってから路頭に迷う可能性は誰にでもあるよ」


良いことばかりに見えるが、山本さんの会社には毎月約40件の相談が寄せられ、そのうち決まるのは5件ほどだともいう。身内がおらず緊急対応が難しい場合や、認知症や火事、金銭面の不安は残るので、ますます"ふるい"にかけられるということでもあるだろう。


同じように、番組を見て身につまされる人は多かったようだ。ツイッターには「他人事じゃない」と書き込む人や、R65を称賛する声が相次いだ。



「高齢者には部屋を貸せない。年齢差別。人ごとではないな。歳とってから路頭に迷う可能性は誰にでもあるよ」


筆者は独身ではないが、いずれ単身になる可能性は誰にでもある。すでに一人暮らしの老母を思うとセンサー付き照明にも興味深々だ。

厳しい現実はあるかもしれないが、今後ますます単身者が増える中、賃貸に限らず、こうした弱者のニーズを捉えるヒトやモノが増えて欲しいと思う。