「生活保護の母子世帯なら、テレビがなければ、かえって子どもの教育に良い……という方もいらっしゃりそうですけど、何かの買い替えを一切予算に入れられないくらい、今でも厳しいんです。そこから、さらに母子加算が削減や廃止となると……」(Yさん)
もう、節約の余地はなさそうだが――。
「町内会を、子ども会を含めて脱退するしかないと思います」(Yさん)
子ども会から脱退すると、子どもたちは地域のクリスマス会・誕生日会などの機会を失うことになる。
「地域の助け合い」だけでは無理
総選挙で彼女たちの姿を思い浮かべて
今回は、母子加算があっても苦しい生活保護母子世帯の事情を紹介した。「地域コミュニティや人間関係が、もっと豊かになれば」「子ども食堂や無料の学習教室をもっと充実させれば」「フードバンクが食糧支援をもっと行えば」という意見を持つ方もいるだろう。
しかし結論から言うと、それらは生活保護母子世帯の困難を全く解決しないのだ。様々な事情から、生活保護を利用できずに生活保護以下の暮らしを続けている母子世帯に対しては、さらに解決にならない。
すでに現在までの生活保護「見直し」は、特に複数の子どもがいる世帯に大きな打撃を与えている。影響は、家庭生活・住居をはじめ、あらゆる面に及ぶ。給付型奨学金の拡充は悪いことではないが、生育や家庭生活のハンデを埋めるものではない。
いま、「ひとり親」というハンデを抱えた生活保護世帯に対する若干の支えとなっている母子加算が、もしも廃止あるいは減額されたら、いったいどうなるのだろうか。
最も影響を受けるのは、生活保護母子世帯・父子世帯の子どもたちだが、その子どもたちには、社会的発言力はない。もちろん、選挙権もない。
読者諸氏には、どうか10月22日の選挙を棄権しないでいただきたい。そして投票行動の際、少しだけ発言力も選挙権もない生活保護世帯の子どもたちと親たち、特にひとり親世帯の母親・父親たちを思い浮かべていただければ幸いである。
(フリーランス・ライター みわよしこ)
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