無尽灯

医療&介護のコンサルティング会社・一般社団法人ロングライフサポート協会代表理事 清原 晃のブログ
高齢社会、貧困、子育て支援などの様々な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて家族に代わる「新しい身寄り社会」を創造する取り組みとして、2011年から①身元引受サービス②高齢者住宅低価格モデルの開発③中小零細高齢者住宅事業支援サービスを掲げた「ソーシャルビジネス」にチャレンジしています。

多くの人が苦しんでいる関節リュウマチの治療が見つかってきました。朗報です。しかし、その原因が腸内細菌の乱れとは驚きです。もっと研究が進み治療薬が一般化されればどれだけ多くの患者が救われるでしょうか。
一日も早い治療が望まれます。
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関節リウマチの原因は腸内細菌の乱れ

関節リウマチ患者に認められるリウマトイド因子の標的は不明だったが、50年前の研究がきっかけで腸内細菌抗原に対する抗体の可能性が示された。最近、腸内細菌叢を改善すれば症状改善が得られることも明らかになってきた。



 関節リウマチの発症に腸内細菌が関わっている──。こんな研究に50年取り組んできたのが、愛知医科大学名誉教授(元愛知医科大学病理学第2講座教授)の青木重久氏だ。
 関節リウマチを専門とする病理医だった青木氏が腸内細菌に注目したのは、ある偶然がきっかけだ。


なぜウサギは関節炎を発症した?

愛知医科大学名誉教授 青木 重久氏


 1964年、米ボストン大学感染症教室に留学した青木氏に与えられた研究テーマは、難治性腎盂腎炎の病態解明だった。難治性腎盂腎炎は、尿中に腸内細菌が検出されないのに症状が改善しない。つまり炎症を引き起こす細菌由来の何かが、腎臓や膀胱などの組織のどこかに存在するはず。そう考え、この病態を解明するために青木氏がまず取り組んだのが、大腸菌O-14株を使って実験用の抗体を作製することだった。

 大腸菌O-14株を選んだのは、多くの腸内細菌に共通して存在する抗原(enterobacterial common antigen:ECA)を細胞壁に持っており、大腸菌だけでなくKlebsiella属菌やProteus属菌なども検出できる抗体を作ることができると考えたからだ。

 そして大腸菌O-14株の加熱死菌をウサギに筋肉内注射して得た抗体(抗ECA抗体)を使った研究で、難治性腎盂腎炎では腎臓の間質に腸内細菌由来抗原が存在しており、これがエンドトキシンとなって炎症を引き起こしていることを明らかにした。

 こうして研究に邁進していた青木氏は、ある時この抗ECA抗体を作るために飼育している20羽のウサギの中に、後ろ脚が伸びたままになっているウサギがいることに気が付いた(図1左上)。当初は「飼育環境が悪くて足が伸びてしまったのか」と考えたが、何羽かに同じ現象が起きていた。

図1 腸内細菌感作関節炎ウサギの肉眼および組織像(提供:青木氏)
(*クリックすると拡大表示します)


「これは何かが起こっている」。そう直感した青木氏は、持ち前の病理医らしさを発揮し詳細に検討したところ、関節炎が起きており、しかもリウマトイド因子様物質が陽性であることも確認した。実はこの時まで人為的に関節を傷害して作る誘発関節炎のモデル動物は存在していたが、リウマトイド因子が陽性の関節炎モデルは存在しなかった。青木氏が発見したこのウサギが世界で初めてのモデル動物となり、1972年、Nature誌に報告した。

 さらに青木氏は、加熱死菌を投与した200羽の日本の白色雑種ウサギとニュージーランド種の白色純系ウサギの関節を詳細に観察した結果を85年に報告した。

 それは、日本種ウサギの6割、ニュージーランド種の8割に関節炎が認められ、線維性強直や慢性滑膜炎を発症しており(図1右)、また両肩にも炎症が起きているというものだった(図1左下)。全身性の関節炎症・破壊という関節リウマチ患者に特徴的な症状と似た症状が認められたのだ。

 同時に、関節リウマチ患者で認められる臨床検査値異常や病理所見などをリストアップし、ウサギにもあるかどうかも検討した。

 関節リウマチ患者では、血中リウマトイド因子高値や高ガンマグロブリン血症が見られ、病理所見では慢性多発性関節炎や絨毛様増殖を示す慢性滑膜炎、滑膜表層のフィブリン析出、パンヌス形成や骨破壊、血管炎が起こる。免疫組織所見では、関節組織にフィブリノーゲンやIgG、IgMなどが局在する。こうした検査値異常や所見はいずれも腸内細菌感作関節炎ウサギに認められ、このウサギが関節リウマチ患者の病態に酷似していることが明らかとなった(表1)。一方、関節リウマチ患者と同様に、ウサギの関節液を培養しても細菌は検出されなかった。

表1 ヒト関節リウマチとウサギ腸内細菌感作関節炎との臨床検査・免疫病理学比較
(*クリックすると拡大表示します)

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