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ブロックチェーンとAIが人間の雇用を奪ったあとに残るもの

 良いことばかりのように見えるブロックチェーンだが、逆に死角はないのだろうか。野口氏は「伝統的な社会の法的な仕組みと接合しない面はあるでしょう。ビットコインも同様ですが、ブロックチェーンで運営される事業は管理者がおらず規制できません。

ブロックチェーンを応用する際は、技術面だけでなく、法的な面が重要でしょう」と指摘する。楢崎氏も「規制の問題は金融業や保険業で反旗を翻すことになるため難しい点もあります」と同意する。

 またブロックチェーンによる新しい仕組みによって「従来の人々の仕事が奪われてしまうのではないか」と危惧する声もある。

 野口氏は「それは否定できません。情報を右から左へ仲介したり、ルーチンに従って進める定型的な仕事は代替されるでしょう。いま話題のAIを活用したロボットなどの自動化は、労働者の仕事を奪うかもしれません。一方で、管理者がやる仕事もルーチンワークが多く、こちらはブロックチェーンの自動化により代替されていくでしょう」と語る。

 保険関係もルーチン的な仕事が多い業界なので、心配する声もあるそうだ。

「事故などで保険を支払う手続きは、パラメータに違いはあっても、基本的には同じプロセスで進められます。保険の更新作業もルーチン的なものです。そう考えると、ほとんどの作業が置き換えられる可能性があります」(楢崎氏)

 とはいえ、すべての仕事が消えてしまうわけではない。

 野口氏は「美味しい料理や手作りの家具をつくるなど、人にしかできないこともあります。これからは、そういう仕事の価値が上がっていくでしょう。したがって我々も、人ができる仕事を探すことが重要になると思います。みなさんもブロックチェーンに負けず、それをうまく活用していける仕事を見出してください」とアドバイスした。

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