<前回に続く>

自殺予防の組織的な取り組みを急げ!

   入院患者の自殺は、家族を含めたすべての当事者に大きな暗い影を落とすものだ。こうした状況を踏まえて、日本医療機能評価機構の提言では、「自殺事故は深刻で主要な医療事故であることを知り、措置を講ずる」ことを各病院に要請している。

 具体的には、屋上などの危険な場所の整備や窓の開閉制限、人気のない場所のモニタリングで防げる自殺があることを周知。

また、先行研究からわかっている自殺のリスク因子を改めて確認し、医療者間で共有するなどだ。

 さらに、一般病院において、がん患者の自殺が大きな割合を占めていることから、がん患者のケアにおいては自殺予防も念頭に置いた対応をする。そして何らかのメンタルヘルス不調や自殺リスクを認めた時点で、精神科へのコンサルテーションを行うことが望まれる。

 そして、院内の安全管理の一環として、自殺予防対策のための研修会を設けること。事故が起きてしまった場合は、当事者となった医療者に専門的なケアを導入することを呼びかけている。

 本来は病を癒すためにある病院で、自殺が多発することはあってはならない。各病院が自殺事故の予防と、事故が発生した時の事後対応について、組織に取り組むことが必要なのだ。
(文=編集部)