<前回に続く>

涙の訴えのなかに見える問題点

私は、3月28日、後見人がついたことを知った日の母・晶子さんの様子を撮影した映像を見た。記事冒頭で示した動画がそれだ。撮影したのは三女の光代さん(50歳・仮名)。

夜、光代さんが2階から1階に降りていくと、「母がシクシク泣いていた」(光代さん)という。

映像では、母親の晶子さんが、後見人をつけられたことに、涙ながらに何度も不満を訴える様子が克明に記録されていた。そのやり取りを紹介しよう(全編は動画で確認できます。ここでは一部省略しながら要旨のみ記します)。

* * *

三女・光代さん「お母さんが一番、傷ついたと思うのはどんなこと?」

母・晶子さん「姉たちが、もっとまともなお姉さんらしい見かたで私たちの生活も見てくれると嬉しいなと思うけどさ……どうもそれが分からないみたいだから、悲しい」

三女・光代さん「姉たちは、私が(注・母と三女が暮らす家に)姉たちを来させないようにしているって言っているらしいよ」

母・晶子さん「家に来もしないで、何にもしないで……ただ一方的に……陰でそんなこと言ってもしょうがないじゃない。もっと明るくね、家に来てさ、ざっくばらんに、私と光代の幸せもちゃんと考えてくれながら話せるような……」

 

三女・光代さん「そうだよね、お母さんは今回のこと(後見人を無断でつけられた)によって自分の幸せな感じは奪われたよね」

母・晶子さん「そうだねえ」

(中略)

母・晶子さん「私にね、ちゃんと聞けばいいのよね、いろいろなことをね。聞いてから話し合いに乗ってくれるとか、そういうこと1回もしないし」

三女・光代さん「本人を見もしないで、勝手にこれが幸せだとか、これが守ってることなんだって言われたって」

母・晶子さん「幼稚だよね」

* * *

このあたりまでは、意見のすれ違う家族のいたましい会話とも思える。だが、次第にその内容は深刻さの度合いを増していく。先を続けよう。

* * *

三女・光代さん「これ(後見人をつけること)が必要なものなのかだって……生活している私たちが一番影響受けることだから」

母・晶子さん「そうそう。(姉たちは)批判をしようっていう気持ちだけだから」

三女・光代さん「私、実際にお母さんのこと虐待してるってずっと言われてたし」

母・晶子さん「えっ、虐待してるって?」

三女・光代さん「そうだよ」

母・晶子さん「(注・当惑して)あなた、虐待したことあるの?」

三女・光代さん「知らないよ(笑)。私はないと思うけど、それはお母さんが感じることだから(笑)」

母・晶子さん「私、虐待してるとは思わないよ?(光代は介護を)一生懸命やってる」

(中略)

三女・光代さん「(事態がここまで来たら)姉たちに訴えても無駄だと思うの。だって見もしないって、そういうことだから。やっぱり周りで、一番近くで見てる(ケアマネのような)人たちが、一番現状をわかってると思うの。

そこに何にも聞きに行かないで、自分たちが適当に書いた申立書が裁判所に行き、で、診断書1枚で全部が通ってしまって。しかも抗弁する2週間を奪われて……即時抗告って言うんだけど、審判がくだった時に、お母さんに知らせなきゃいけないの、本当は(注・裁判所からの通知の問題については、別途、続報で詳しくお伝えする)」

母・晶子さん「裁判所がなんで、ねえ? 片方だけ(の意見)しか聞かないで。私のことも何にも聞かないで、そういう勝手なことしたかね?」

三女・光代さん「それが一番の怒りのポイント!」

母・晶子さん「それは私もそうだよ」

三女・光代さん「うん。そうだよね」

母・晶子さん「聞きにくればいいじゃないね」

三女・光代さん「裁判を下すってことは、とても重要なことなのよ、その人の人権に関わることで。そこをなぜそんなにずさんにね、すっ飛ばしてるのかって

母・晶子さん「これ(お金)で動いた?」

三女・光代さん「いや、それは(笑)。……ないと思う。裁判所は基本的にはお金では動かないはず」

* * *

このやりとりには重大な問題がいくつも含まれている。だが、それを追っていく前に、まず読者のみなさんに問いたい。

上記の文章を読んで、これが認知症で「判断能力が著しく低下した人」との会話だと感じるだろうか?

<次回に続く>