<前回に続く>

各方面に及ぶ影響

高齢化と単独世帯の増加がセットで進み、世帯数総数が2023年を境に減少していくとなると、各方面で影響が生じると考えられます。影響はかなり多岐にわたるはずですが、いくつか例をあげてみます。

家賃保証サービス

明らかに高齢者の一人暮らしが増えます。自宅を所有しているならともかく、賃貸物件に住む場合には、保証人が必要となります。ところが、高齢者になると保証人を見つけることが難しくなります。保証人がいなくて住居が見つけられないという状況も想定されます。

そうした恐れもあり、国土交通省主導で整備される「住宅セーフティネット制度」の中で、家賃債務保証業の登録制度が始まるなど、行政によるバックアップが進みつつあります。

空き家の増加や「ごみ屋敷問題」など

世帯数が少なくなると、放っておけば、空き家の増加も進むでしょう。また、空き家でなくとも、片づける人がいなくなることで、いわゆる「ごみ屋敷」の問題も日常茶飯事となるかもしれません。

高齢者向けの中食の進化

一人暮らしの高齢者にとって、長生きをするためにも安定した食事が欠かせません。ところが、毎日料理することがきつくなったり、火を使っての調理が危うくなったりすることも考えられます。だからと言って、毎日外食というわけにもいかないとすれば、高齢者の健康にフォーカスした中食がさらに進化することも考えられます。

中小企業の廃業問題の深刻化

東京商工リサーチによると、2016年の休廃業・解散企業数は29,583件と過去最高になっています。おそらくこの傾向は当面続くものと考えられます。中小企業庁などでも危機感を持っているほか、金融機関やコンサルティング会社を中心に、事業承継がテーマとして取り上げられる機会も多くなりました。

休廃業の増加の要因として、経営者の高齢化や後継者の未定があげられています。日本の企業全体の97%がファミリービジネス(注2)と言われる状況を合わせ考えると、高齢化と単独世帯の増加の同時進行によって、ファミリービジネスを担うファミリーの力が低下していることが背景にあると考えることができます。

注2:ファミリービジネスは、「企業の所有者(オーナー)と、経営者(マネジメント)と、家族(ファミリー)の3者の利害関係の調整を必要とする事業形態」と定義します。

世帯数の動向には引き続き注視

日本の世帯数が実際にピークを打つのが5年後だとしても、その動きを先取りするかのように影響が既に出始めていると考えるのが妥当です。世帯数の推移は多方面に大きな影響を与えますし、個人のライフプランニングや資産運用にも影響を及ぼすと考えられることから、引き続き注視すべきだと考えます。