川崎市の老人ホームの転落死事件の裁判が今日から始まるようです。今まで調査に4年を要したということでしょうか。本人が黙秘していることからこの裁判も長引くことが予測されます。しかし、全国で少なからず高齢者の虐待問題が発生していることから、いつなんどき、このような事件が起きないとも限りません。施設のリスクも高くなっております。それだけ、しっかりと施設運営に経営者は目を配らせておかねばなりません。
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老人ホーム3人転落死 元職員 きょうから裁判

4年前の平成26年11月から12月にかけて、川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所していた86歳と96歳の女性と87歳の男性の合わせて3人が死亡しました。

当時、職員だった今井隼人被告(25)が3人を抱えて4階や6階のベランダから転落させて殺害したとして殺人の罪に問われ、23日から横浜地方裁判所で裁判員裁判が始まります。

捜査関係者によりますと、今井被告は当初「はいかいや入浴の拒否などで介護に手がかかり、介護の仕事が面倒になった」と3人の殺害を認める供述をしていましたが、その後、事件に関する取り調べには応じていないということです。

この事件では目撃者がいないなど直接的な証拠がないことから、裁判では関与を認めた供述の内容が信用できるかどうかなどが争点となる見通しです。

福祉の現場で高齢者が相次いで死亡した事件の詳しい経緯が裁判で解明されるのか注目されます。

短期間に相次いだ転落死 被告「黙秘します」

4年前の平成26年11月4日、川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、4階の部屋に入所していた87歳の男性がベランダから転落して死亡しているのが見つかりました。

さらに翌月の12月9日にも、同じ4階の部屋にいた86歳の女性が転落して死亡しました。そして大みそかには6階に入所していた96歳の女性が死亡しているのが見つかりました。

3人が見つかった場所はいずれも施設の中庭で、警察は当初、高さ10メートルの4階のベランダと高さ16メートルの6階のベランダからそれぞれ誤って転落した事故の疑いもあるとしていました。

しかし、短期間に連続して転落事故が起きていることや、高さ1メートル20センチのベランダの手すりを高齢者が自力で乗り越えるのは不自然だとして、事件の疑いで捜査を進めました。

その結果、3人が転落したと見られる夜間の時間帯にいずれも勤務していた、当時、職員だった今井被告が事件に関与している疑いがあると見て、おととし2月、最初に死亡した87歳の男性を殺害した疑いで逮捕。さらに別の2人についても殺人の疑いで逮捕し、いずれも起訴されました。

取り調べは録音・録画され、今井被告は当初、3人を殺害したことを認めていましたが、その後「黙秘します」などとして事件に関する取り調べには応じなくなったということです。

3人の入所者が相次いで死亡したのが明らかになった3年前の平成27年9月に今井被告は取材に対し「当時、自分が当直していたことは事実で、疑われているのはわかっているが何も知らない」と述べ、関与を否定していました。3人が死亡したことについては「本当に残念だし、当時、介護職員として自分が関わっていたので非常に悲しい」と話していました。

相次ぐ介護施設の職員による高齢者への暴行事件

介護施設の職員が高齢者に暴行するなどして逮捕される事件は各地で相次いでいます。

岡山県備前市にある特別養護老人ホームでは平成27年6月、介護福祉士の職員が入所していた当時97歳の女性の頭を殴り、大けがをさせたとして傷害の疑いで逮捕されています。女性は後遺症で体の一部にまひが残ったということです。施設の聞き取りに対して逮捕された職員は「女性が部屋の中をはいかいしていたことに腹が立って殴った」と話していたということです。

おととし7月には、群馬県渋川市の老人ホームで当時53歳の入所者の男性に暴行していたとして職員が逮捕されました。この施設では別の職員も同じ入所者を殴ったとして逮捕され、警察の調べに対して「仕事が忙しく、むしゃくしゃしてやった」と供述しているということです。

入所者が命を落とす事件も起きています。去年8月、東京・中野区の老人ホームで当時83歳の入所者の男性を浴槽でお湯に顔をつからせて溺れさせ殺害したとして職員が逮捕されました。警視庁の調べに対し「何度も布団を汚したので『いい加減にしろ』と思ってやった」などと供述しているということです。