台湾でも急速に高齢化が進んでいます。「おひとりさまの老後」の著者、上野千鶴子氏が「7年独居を続けた認知症女性を例に挙げ、当事者の強い意志、連絡係である司令塔になれる人、24時間連携の介護と医療という3要素がそろえば在宅ひとり死を実現できる」と述べた、と報道されました。日本の取り組みに世界が注目しています。
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上野千鶴子さんが台北で講演 「在宅ひとり死」の考え方伝える

フォーカス台湾2018/02/10 15:12

(台北 10日 中央社)女性学やジェンダー研究のパイオニア、上野千鶴子さんが8日、「台北国際ブックフェア」でサイン会に臨んだ。「在宅ひとり死するために必要なこと」と題した講演も行い、日本と台湾はいずれも超高齢社会、人口減少社会に直面しており、人生の半分は下り坂だとした上で、「みんな一緒に支え合って坂を下りよう」と呼び掛けた。

「おひとりさまの老後」(2007年)がベストセラーとなった上野さん。2015年に出した「おひとりさまの最期」は中国語にも翻訳され、台湾では2017年末に出版された。

講演会でまず、東部・花蓮近海で6日に発生した地震に触れた上野さん。お見舞いの言葉を伝えるとともに、東日本大震災の時に台湾から寄せられた多大な支援に対する感謝の意も示した。

「在宅ひとり死」については、少子高齢化、晩婚‧非婚化、離別‧死別率の上昇が進む日本社会では「単独世帯」が約27%、「夫婦のみ世帯」が約31%で、合わせると世帯全体の半分以上を占めると述べ、「長生きすれば結婚してもしなくても最後は一人になる」と強調した。

そして、7年独居を続けた認知症女性を例に挙げ、当事者の強い意志、連絡係である司令塔になれる人、24時間連携の介護と医療という3要素がそろえば在宅ひとり死を実現できると述べた。また、経済的な側面から日本の介護保険を紹介し、台湾が今後参考にできるのではとの考えを示した。

サイン会に来た28歳の読者Kさんは中央社の取材に応じ、「失業率の高い現在、政府の介護‧医療システム、親の老後などに不安を感じる若者が少なくない」「上野さんの主張を参考にしたい」などと感想を語った。

(楊明珠)