認知症ケアの問題行動を解決する為には、認知症の人の気持ちをどれだけ理解しているかが重要です。問題行動の裏には必ず原因があります。解決のカギはその人のことをどれだけ知っているかに尽きます。知ることが良い介護の前提になります。では何を知ればよいのか、その人の生い立ち、家庭環境、仕事経歴等、その人の人格を形成している要素をどれだけ知りえているかにつきます。これは簡単なことではありません。その人に関心を寄せ、細心の注意をもってその人のことを知ろうという気持ちがなければできることではありません。医療よりもはるかに広い、そして深い情報が介護には求められます。
恩師からは「良い介護は情報量によって決定される」と聞きました。アセスメントをしっかり行い、その人を知るところから介護は始まります。地域包括ケアにおいても医療、介護の関係者がその情報をどれだけ共有することができるかが問われます。
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認知症の人の気持ち 抱えるつらさ理解して
恩師からは「良い介護は情報量によって決定される」と聞きました。アセスメントをしっかり行い、その人を知るところから介護は始まります。地域包括ケアにおいても医療、介護の関係者がその情報をどれだけ共有することができるかが問われます。
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認知症の人の気持ち 抱えるつらさ理解して
上毛新聞 [2018/02/11]
私たちは自分の身体や健康に当てはまることは理解できます。風邪をひいてつらい思いをしている人に対しては、いたわりの言葉や優しい声かけができます。自分自身が風邪をひいてつらい思いをしたことがあるからです。
しかし認知症になったことがない私たちは、認知症の人の気持ちを理解できているでしょうか。近所なのに道に迷って帰れなくなったり、財布を盗まれたと大騒ぎをしたり、ご飯を食べたのに食べてないと言ったり、食べられないものを口に入れたりと、こういった行動を私たちは普段しませんから、認知症の人の気持ちを簡単には理解できないのです。
特にアルツハイマー型認知症は記憶障害が起きることから、私たちが理解し難いような発言や行動をすることがあります。家族や周りの人たちは「なんでそんなこと言うの」「なんでそんなことするの」「なんでこんなこともできないの」と本人を責めてしまいがちになりますが、本人は決して家族や周りの人を困らせてやろうなどとは思っていないということを理解しておかなければならないのです。
今までわかっていたことがわからなくなっていく不安や今までできていたことができなくなって自信をなくしていく過程で焦りや葛藤と闘いながら、私たち健常者が作り出した環境の中で一生懸命生活を送ろうとした結果、私たちが日常生活では行わないような発言や行動をしてしまうということなのだと思います。
風邪の症状なら皆さんも大体わかっているので熱や咳(せき)の出方でどのくらいつらいのか想像がつくと思いますが、認知症の人の発言や行動には本人が生きてきた人生や性格、生活歴などが関わっているので症状の出方に一人一人違いがあります。
私たち介護職はこの人から消えてしまった記憶は何だろう、この人がまだ覚えている記憶は何だろう、そしてこの人がまだできることは何だろう、望んでいることは何だろうと、認知症の人を常に見つめ続け考え続けていく必要があるのです。
そして私たち介護職以上にその人と長く関わってこられた家族や地域住民の方々こそがその人の性格や生活歴、どんなことが好きでどんなことに取り組まれていたかを知る大切な存在です。
国が進めている地域包括ケアシステムでは可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援やサービス提供体制の構築を推進しています。医療や介護に携わる方たちはもちろん、認知症の人の周りで暮らす地域の人たちの理解と協力が欠かせないものになってきます。
今まで以上に専門職と地域の方々が一緒に協力し、共に学びを深めていく必要性があると考えます。
認知症トレーナー講師 柿沼博昭 桐生市相生町
【略歴】母親の病気を契機に福祉業界へ転職。プライマリー(桐生市)の社員としてデイサービス立ち上げや認知症トレーナー育成に携わる。桐生南高卒。
私たちは自分の身体や健康に当てはまることは理解できます。風邪をひいてつらい思いをしている人に対しては、いたわりの言葉や優しい声かけができます。自分自身が風邪をひいてつらい思いをしたことがあるからです。
しかし認知症になったことがない私たちは、認知症の人の気持ちを理解できているでしょうか。近所なのに道に迷って帰れなくなったり、財布を盗まれたと大騒ぎをしたり、ご飯を食べたのに食べてないと言ったり、食べられないものを口に入れたりと、こういった行動を私たちは普段しませんから、認知症の人の気持ちを簡単には理解できないのです。
特にアルツハイマー型認知症は記憶障害が起きることから、私たちが理解し難いような発言や行動をすることがあります。家族や周りの人たちは「なんでそんなこと言うの」「なんでそんなことするの」「なんでこんなこともできないの」と本人を責めてしまいがちになりますが、本人は決して家族や周りの人を困らせてやろうなどとは思っていないということを理解しておかなければならないのです。
今までわかっていたことがわからなくなっていく不安や今までできていたことができなくなって自信をなくしていく過程で焦りや葛藤と闘いながら、私たち健常者が作り出した環境の中で一生懸命生活を送ろうとした結果、私たちが日常生活では行わないような発言や行動をしてしまうということなのだと思います。
風邪の症状なら皆さんも大体わかっているので熱や咳(せき)の出方でどのくらいつらいのか想像がつくと思いますが、認知症の人の発言や行動には本人が生きてきた人生や性格、生活歴などが関わっているので症状の出方に一人一人違いがあります。
私たち介護職はこの人から消えてしまった記憶は何だろう、この人がまだ覚えている記憶は何だろう、そしてこの人がまだできることは何だろう、望んでいることは何だろうと、認知症の人を常に見つめ続け考え続けていく必要があるのです。
そして私たち介護職以上にその人と長く関わってこられた家族や地域住民の方々こそがその人の性格や生活歴、どんなことが好きでどんなことに取り組まれていたかを知る大切な存在です。
国が進めている地域包括ケアシステムでは可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援やサービス提供体制の構築を推進しています。医療や介護に携わる方たちはもちろん、認知症の人の周りで暮らす地域の人たちの理解と協力が欠かせないものになってきます。
今まで以上に専門職と地域の方々が一緒に協力し、共に学びを深めていく必要性があると考えます。
認知症トレーナー講師 柿沼博昭 桐生市相生町
【略歴】母親の病気を契機に福祉業界へ転職。プライマリー(桐生市)の社員としてデイサービス立ち上げや認知症トレーナー育成に携わる。桐生南高卒。
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