<前回に続く>

「共助」から「自助」への移行


 社会保障制度の基本的な考え方には4つの類型がある(図2)。「自助」「互助」「共助」「公助」の4類型について第1回の報告書でも触れていた。

「自助」とはアメリカ型の、自分のリスクは自分で責任をとり国や自治体をあてにしない。制度としての介護保険や医療保険を当てにしないから税率は低く、国民は銃で自らを守る。正反対が「公助」の国だ。高い税率だけれど、国や自治体が教育や医療、介護などの各サービスを運営し、国民はほとんどその利用料負担はない。25%もの高消費税を確立させた北欧諸国である。

 大半の欧州諸国と日本は「共助」の考えを保険制度として樹立させた。年金や医療保険であり、日本やドイツ、オランダは介護保険を加えている。保険料を積み立て、必要な時に引き出してリスクに対応させる方式である。

 もう一つの「互助」は、助け合い精神に基づく無償のボランティア活動など住民活動を担い手とする考え方である。

「植木鉢モデル」では、3枚の葉にあたる専門職の活動が「共助」であり、「住まい」や「生活支援」は「自助」と「互助」にあたる。

 ここで「生活支援」が「土」にあたり、「自助・互助」で担われるとされていることにも注視したい。生活支援とは、ホームヘルパーが訪れて、買い物や洗濯、掃除などの生活援助をすることが想定される。介護保険の訪問介護サービスとして扱われてきた「生活援助」が、「互助」であれば保険外という仕分けになってしまう。

 4年ほど前から始まった「総合事業」では、介護保険の要支援者向けの訪問介護と通所介護(デイサービス)が市町村の地域支援事業へと移管が進んでおり、その名も「訪問型サービス」「通所型サービス」と変わってしまった。

 さらに、この4月からの第7期介護保険制度では、「生活援助」のヘルパーの資格基準が緩められる。従来の130時間の研修期間が大幅に短縮される。近い将来、要介護者全員から「生活援助」が切り離され、新総合事業へ全面移管される地ならしと思われる。

 こうした「共助」から「互助」への移行は、この植木鉢モデルで既に示されていると言えよう。

<次回に続く>