保険業界からみた介護報酬改定でみえてくるものは、介護の社会化から家族介護への逆行現象ではないでしょうか。果たしてこれで2025年を乗り越えることができるのでしょうか?
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2018年4月からの介護報酬改定で何がどう変わる?

4月から介護サービスの基準となる介護報酬が改定されます。団塊世代が75歳以上になる2025年に向け、すべての国民が適切な介護サービスを受けられるようにするのが目的です。

診療報酬・介護報酬の改正から見えてくるもの

今回の診療報酬・介護報酬の改正から見えてくるものは、明らかに、介護は在宅を基本とした方向へと向かっているということです。「住み慣れた地域で老後を送れる体制づくり」(地域包括ケアシステム)を推進していくことでしか、介護施設不足に対処することはできません。

在宅介護は、基本は家族の手を借りる介護です。「介護の社会化」を目指して作られた介護保険制度でしたが、家族介護を柱とする在宅介護に戻ってきたような印象を受けているのは私だけでしょうか。結局、ある程度資金がないと介護保険料を負担していても利用しにくく、家族介護になってしまいます。

また、大介護時代は目前に迫っていて、2025年までに各地に地域包括ケアシステムが十分に広がっていくのでしょうか。人手不足の中、医療・介護の人材が確保できるのかも心配です。

描かれている青写真通りにいくのか、これから介護を支える身としても、いずれ介護を受ける身としても、不安がいっぱいです。今回の診療報酬・介護報酬の改定で、少しでもいい形に変化することを祈るばかりです。

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