生活援助の新研修「生活援助従事者研修」のカリキュラムが発表されました。初任者研修に半分の時間で終了し、訪問介護では事業所の人員基準の常勤換算人数2.5に組み入れるが、身体介護は認めないとされています。しかし、生活援助の単位は2単位マイナスとなり身体は見れないとなると当然、報酬は限られることになります。果たして人材の確保はできるのでしょうか?それでなくとも要支援者を対象とする自治体の総合事業が採算が取れなくて撤退している状況で、事業の可能性が不透明です。
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官庁通信社2018.2.26

生活援助の新研修は59時間 厚労省、カリキュラムを公表 来年度から創設へ

訪問介護の生活援助を中心としたサービスの担い手を育成するために来年度から創設される短時間の新研修 −− 。厚生労働省がそのカリキュラムを明らかにした。
 
現行の初任者研修(130時間)の半分以下の59時間。「こころとからだの仕組み」と「生活支援技術」で24時間としたほか、「老化と認知症の理解」を9時間、「尊厳の保持・自立支援」を6時間、「コミュニケーション技術」を6時間などと設定している。各科目では講義と演習を一体的に行っていく。最後は筆記試験による修了評価を実施する。
 
パブリックコメント:意見募集中案件詳細
 
すでにパブリックコメントの手続きを進めている。意見募集の締め切りは3月20日。年度末までに正式に決め、4月1日から適用する予定だ。
 
新たな研修を設けるのは、人材の裾野を広げてマンパワーの確保につなげることが狙い。カリキュラムは関係者や専門家などでつくる会議がまとめた。現場での実証も重ね、内容の妥当性を高めてきたという。厚労省は今後、地域の介護サービスの基盤を強化する原資として都道府県ごとに設けている基金なども活用し、希望者がスムーズに受講できる環境の整備を急ぐ。費用の補助も出すよう促していく。
 
課題は人が集まるかだ。人手不足の解消には処遇の改善が不可欠 −− 。そうした声が多く出ていたが、厚労省は来年度の介護報酬改定で基本報酬を2単位引き下げる判断を下した。子育てが落ち着いた女性や一線を退いた中高年などをターゲットにしているが、多くの人が実際に参入してきてくれるかどうかは不透明だ。
 
新たな研修の名称は「生活援助従事者研修」。厚労省は認知症に関する知識の修得や観察の視点も重視したと説明している。

この研修を修了した職員は、訪問介護事業所の人員基準(常勤換算2.5以上)の対象としてカウントすることが可能。ただ身体介護を任せることはできない

公表されたカリキュラムを以下にまとめた。

 生活援助従事者研修課程 計59時間

 
 職務の理解 2時間
 
研修修了者が行う職務の範囲、および緊急時の対応について理解するために必要な内容を含めること。必要に応じて施設見学などの実習を活用すること。
 
 尊厳の保持・自立支援 6時間
 
介護職が、利用者の尊厳と自立を支える専門職であることを自覚し、介護・福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点などを理解することを目的とすること。
 
 介護の基本 4時間

利用者の介護にあたり、介護職としての倫理、および生じるリスクを十分に理解したうえで介護を行うことの必要性を理解することを目的とすること。
 
 介護・福祉サービスの理解と医療との連携 3時間
 
介護保険制度や障害者福祉制度を担う一員として最低限知っておくべき制度の目標、サービス利用の流れ、および各専門職の役割と責務について、その概要を理解することを目的とすること。
 
 コミュニケーション技術 6時間
 
サービス提供の際に必要となる観察、記録、および報告を含めたチームでのコミュニケーションの方法を理解することを目的とすること。
 
 老化と認知症の理解 9時間
 
加齢・老化に伴う心身の変化、疾病、認知症などについての基本的な視点を理解することを目的とすること。
 
 障害の理解 3時間
 
障害の概念、国際生活機能分類、障害者福祉の基本的な考え方について理解することを目的とすること。
 
 こころとからだのしくみと生活支援技術 24時間
 
介護技術の根拠となる人体の構造、および機能に関する知識を習得し、安全な生活援助が中心である訪問介護の提供方法などを理解することを目的とするとともに、その習得状況を確認すること。
 
 振り返り 2時間
 
必要に応じて、施設の見学などの実習を活用すること。
 
※ 上記とは別に筆記試験による修了評価(30分程度)を行う。
 
※「こころとからだのしくみと生活支援技術」においては、移動・移乗に関連した実習を2時間実施する。