療養病床型病院でESBL産生大腸菌が蔓延との驚くべき報告がなされています。何故病院でこのようになるのか、長期療養病院での感染症の問題について意外なほど研究がなされていないことに驚きです。海外では尿路感染症が多いというのも気になります。日本では大丈夫なのでしょうか。病院リスクが高まります。
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療養病床型病院ではESBL産生大腸菌が蔓延か医師への集団教育、グラム染色検査が抗菌薬適正化支援の鍵

2018/3/5

日経メディカル 三和護=編集委員

 日本の療養病床型病院では、ESBL産生大腸菌が蔓延している可能性が示された。また、こうした施設での抗菌薬適正化支援の決め手は、医師への集団教育やグラム染色検査にあることも分かった。国立国際医療研究センター病院国際感染症センターの森岡慎一郎氏が、第33回日本環境感染学会総会・学術集会(2月23~24日、東京)で報告した。

海外の長期療養施設(long-term care facilities:LTCFs)からの報告では、感染症の中で尿路感染症の頻度が最も高い。フルオロキノロン系抗菌薬が頻用されており、無症候性細菌尿に対する抗菌薬の不適切使用が最大の原因と指摘されている。また、抗菌薬適正化支援における障壁は、「とりあえず治療してみる」という医師の態度にあるとも報告されている。このため、医師を対象とした介入と長期療養施設に特化した効果的な介入方法の模索が、今後の課題となっている。

 一方、我が国では、療養病床を有する病院での薬剤耐性菌の疫学的検討や感染症診療への介入に関する報告が少なく、現状把握が遅れている。そこで森岡氏らは、療養病床を有する病院における薬剤耐性菌の現状を把握し、感染症診療への介入による診療の質の推移を評価した。