何を今更と思いますが、日本医師会の副会長がこのような認識であれば、恐らく今後も多くの医療の現場で労基法違反となる事象は無くなりはしないでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・
「今の労基法はおかしい」日医今村副会長

第141回日医臨時代議員会、「医師とは」、「医師の働き方」など提言へ

2018年3月26日 水谷悠(m3.com編集部)

日本医師会副会長の今村聡氏は3月25日の第141回日医臨時代議員会で、医師の働き方改革の議論や、その一方で労働基準監督署が次々と医療機関に指導・監査に入る現状について、「今の労働基準法はそもそもおかしい。働き方改革はそれを見直す一つの機会だ」と述べた。

今後、日医内に厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員や若手医師をメンバーとする会議を設置し、医師とは何か、医師の働き方とはどのようなものかといったことについて提言していく考えを示した。

 北海道代議員の小熊豊氏、新潟県代議員の小池哲雄氏の代表質問に答えた。

 小熊氏は、医師は労基法を「守らない」のではなく、医師不足や偏在のために「守っていては患者を救えない」ことや、医療がこうした法規違反を前提に成り立ってきたとの考えを強調。労基署が地域医療や病院経営には配慮せず、労働者としての医師の権利や健康を守るのみとの考えで「公的病院や大学、大病院に見せしめ的に立ち入り調査し、巨額の賦課を課すやり方は許されるのか」と指摘。

 小池氏も、大多数の医師が研究や学会発表の準備、自己研さんを労働時間とは考えてこなかったが、労基署は病院内で行われるこうした行為や、各種会議やカンファレンスなど疑義解釈では労働時間と見なさないとされているものも全て労働時間として算定していると指摘。両者とも、こうした状況を正すために、厚生労働省や労基署への日医の積極的な働きかけを求めた。

 個人質問でも、大阪府代議員の阪本栄氏が、労基署の指導・監査や改善命令で地域医療に影響が出ていることについての日医の見解を質した。日医常任理事の市川朝洋氏は、労基署の指導や監査は、定期的に行うものと労働者の申し出によるものがあり、後者が増えている現状を紹介。これを減らすためには基本的事項を確認し、取り組むことで労働者とのコミュニケーションを密にすることが必要とし、「労基法には医師の働き方に合わない点が多いのが現実だが、現行法がある以上勤務環境改善のための方策と捉え、取り組むことが求められる」と述べた。

「地域医療を守り育てる基本条例」施行例も

 今村氏は、医師の献身的な働きによって地域医療が守られてきており、応招義務や自己研さん、地域社会への貢献など、通常の労働者と性格が全く異なっているとして、「今まで、労基法で通常の労働者と同じ扱いであったことが問題なのは間違いない」と指摘。社会問題となっている「働き方改革」の中で、医師のみ厚労省で検討会が別途設けられたこと自体が、「医師の特殊性を国が認めたからに他ならない」との見方も披露した。

 一方で、「いかなる状態で働くにしても、その医師の健康を守るという労働衛生の観点は欠かせない。医療現場が最も産業保健から取り残されていたのでは、という疑問は間違いなく、医療界としても反省が必要だと考える」ことも強調した。

医師の健康は安全で良質な医療を提供するための必要条件であるとして、本人任せとせず産業保健の仕組みでしっかり管理することが不可欠だと指摘。現在の医師の働き方に全く無駄がないのか、医師が行わなくてもいい仕事をしていないかなど、衛生委員会を活用して検討することが求められているとして、「労働時間短縮の工夫ができないかを考えていく必要はあると思う」と述べた。

 医師の負担、労働時間を増やす要因として、救急車の利用のあり方や「コンビニ受診」、夜間・休日の患者家族への病状説明といった、患者・国民の側の意識の問題も取り上げ、「これが医師の時間外労働を増やし休日を減らす一因でもある」とも述べた。

 福島県いわき市で2017年6月に「いわき市地域医療を守り育てる基本条例」(いわき市のホームページを参照)が施行され、地域医療についての基本理念や市、市民、医療機関等の役割が条例で定められていることを紹介。「地域医療を守るには医療提供者の努力だけでは解決できない。国を始め自治体が啓発活動に積極的に取り組み、各医療機関でも工夫することで住民の十分な理解を得ることが、長時間労働の是正に寄与する」と述べた。