認知症医療の第一人者で谷川式認知症スケールで有名な長谷川和夫先生が認知症とのこと、大変驚きました。認知症を熟知しておられるだけに、認知症になった時の生き方について先生の覚悟が伺えるお話です。先生が提唱してこられました認知症の人を尊重し、中心に置く介護「パーソン・センタード・ケア」のお考えを実践して参りたいと思います。
・・・・・・・・・・・・・・
産経west 2018.3.28 12:00
更新

認知症医療の第一人者が認知症に… 長谷川和夫医師「明るい気持ちで生きていく」

認知症医療の第一人者、長谷川和夫医師=東京都杉並区の認知症介護研究・研修東京センター(飯田英男撮影)
認知症医療の第一人者、長谷川和夫医師=東京都杉並区の認知症介護研究・研修東京センター(飯田英男撮影)

高齢化に伴い、認知症の人は7年後には700万人、高齢者の5人に1人が発症すると予測されている。そんな中、認知症医療の第一人者で、昭和49(1974)年に認知症を鑑別する「長谷川式簡易知能評価スケール(長谷川式認知症スケール)」を開発した医師の長谷川和夫さん(89)が昨年、自身が認知症であることを公表した。長谷川さんは今、どんな心境なのか。(加納裕子)

 認知症になって、どんな風に感じたのだろうか。長谷川さんは「認知症になった自分とそうじゃなかった自分には、そんなに大きな差がない。連続性があるという感じがする」と説明する。そして、認知症の人への接し方について、こう提唱した。「目線を同じ高さにした方がいい。認知症だからといって、特別な待遇はしない。軽蔑しない、敬遠しない。逆に『特別な気持ちで接しないと』と見上げるのも良くない」

 長谷川さんはこれまでも、認知症の人を尊重し、中心に置く介護「パーソン・センタード・ケア」を提唱してきた。そのことの大切さを、自身の体験を持って実感したという。

認知症と診断された今後の人生について、長谷川さんは「他の人からの支えを受けなければ、何もできない。そういう気持ちを持って、お願いしながらやっていく」と静かに話した。

 また、「非常に重要なのは、生きていることの尊さ。全世界の何十億人のなかで、僕と同じ人生を生きている人は誰もいない。自分自身のことを尊いというのはおこがましいけれど、それは皆さんにもいえる。1人1人が、みんな尊い存在であるということを、知らなくちゃいけない」と強調。

取材の最後には、「僕はこれからも明るい気持ちで、笑うことを大切にしていく」とおだやかにほほえんだ。