北海道で3日に1人が孤独死という深刻な事態が起きています。官民協力のもとにきめ細かく見守る仕組みが必要になってきています。行政だけでは解決する問題ではありません。民生委員の仕組みだけでは限界でしょう。地域の新しい自治組織の創造が必要なのではないかと考えます。
孤立死防止 きめ細かな見守りが鍵
死後1週間を超えて発見される孤立死した人は昨年、道内32市町村で110人に上ったことが、道の調査で明らかになった。
ほぼ3日に1人が孤立死するという深刻な事態だ。このうち7割を高齢者が占める。生活保護や介護などの制度を利用しないため、行政の目の届きにくい人も多い。地域全体で危機感を共有する必要がある。官民で協力して、きめ細かく見守る態勢を整え、孤立死を未然に防がねばならない。
道内で暮らす65歳以上の独居高齢者は2015年は約32万人で、35年には2割増の約38万人になると予想されている。
政府は病院や施設から在宅での療養を促しており、地域で暮らす高齢者は一層増えるだろう。その際の相談や支援を担うのが民生委員だが、仕事は増える一方でなり手も少ない。
行政任せにせず、住民同士が助け合い、地域で見守り合う形をつくることが大切だ。札幌市では、町内会単位で見守りの対象世帯と支援者世帯が分かる福祉マップの作成などに取り組んでいる。
作業を通じて地域の絆が強まり、情報の共有化も進む。災害弱者の把握にも役立つはずだ。もちろん、プライバシーに細心の注意を払わねばならない。手助けが要るのに、近所づきあいの苦手な人もいる。
今回の調査では、孤立死の7割が男性だった。男性は人間関係が希薄になりがちだ。気軽に助けを求めることができるように、日常の声かけや、行事の開催、雪かきなどのボランティアを通じて、普段から信頼関係を築いておきたい。
ポストに郵便物がたまっていたり、日中でもカーテンが閉まったままになっていたり、異変を素早く察知するには、日頃の目配りが鍵を握る。新聞や食料品の配達など、地域の店舗との連携も求められる。
生活保護などの支援が、本当に必要な人に必ずしも行き渡っていない現実もある。今年1月、札幌市内のアパートで、80代の母親と引きこもりの50代の娘が孤立死した。他人に頼りたくないとの理由で生活保護の申請もせず、区役所もつかめなかったという。行政と地域が手を携え、弱い立場の人の生活実態を把握する努力が欠かせない。
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