介護保険サービスが岐路に立たされています。介護保険制度が始まって約20年で制度の定着を図るところ、逆に存続の危機に立たされています。つぎはぎだらけで各制度の整合性が崩れ、地域包括ケアは絵に描いた餅になりつつあります。このままでは介護報酬財源の抑制で25種類53の介護サービスが共食いする最悪の事態を迎えようとしています。
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暴走する介護保険…53サービス乱立で「共食い」状態、介護施設に淘汰の波
Business Journal 2018.05.24)

  介護保険サービスを細分化し過ぎたツケが回ってきたのだ。ニーズの多様化に対応した制度設計を重ねて新サービスが創設されてきたともいえるが、その挙げ句に「介護保険制度はツギハギだらけの中古家屋のようになってしまった」(自治体関係者)。しかも、国の財政悪化で介護報酬財源が抑制されるなかにあって、財源をめぐって25種類53サービス同士が共食いをし合うというジレンマを引き起こしているのが実情だ。

地域包括ケアシステムの要を担う市区町村の人事も障害になっている。市区町村では人事異動がほぼ3年単位で実施されるため、保健福祉担当部門にノウハウが蓄積されないのだ。

 その結果、全国老人保健施設協会が昨年9月に実施して今年3月に発表した調査(回答・1529施設)によると、在宅強化型16.7%、加算型31.4%、従来型52.0%だった。今年4月に地域包括ケアシステム強化法が施行されたが、現状では政策と現実のかい離が縮まらず、地域包括ケアシステムの重点施策である在宅医療・在宅介護体制の整備は到底間に合わない。